安倍首相が近々、消費税増税を最終決定するという。すでに増税を意識して経済対策を具体的に構想しており、10月1日の日銀短観公表後のどこかのタイミングで、増税決定を発表することだろう。
筆者は、安倍首相が「2013年4-6月の経済状況を見て」、2014年4月の消費税増税を改めて判断するという判断基準に関しては大いに疑問を抱いている。
この判断基準がおかしいと思うのは、次の4つの理由からである。
(1)2013年4月から秋までの経済データをつぶさに検証しても、2014年以降の景気情勢は完全には見通せない。
(2)2014年4-6月以降の景気の持続性は、消費税の反動減よりも、そのときの海外経済の動向に依存する部分が大きい。
(3)2013年6月あたりまでは、黒田総裁の金融緩和効果が、円安・株高を促して、製造業・非製造業の収益回復に大きく貢献したが、もうその効果は出尽くしている。
(4)経済成長戦略は確かに重要だが、消費税増税のタイミングまでに、景気を大きく底上げする即効的効果は見込めない。
多くのエコノミストや専門家と言われる人々もまた、最終的に政治が決断するしかない問題に関して、増税後の景気情勢が見通せるかどうかという別の評価基準に論点をすり替えて考えるようになっている。