情報と人、人と企業、企業と社会をつなぐ仕組みづくりに邁進する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)。佐々木節夫社長に事業戦略を聞いた。

──ICT(情報通信技術)をはじめ、幅広い事業を展開していますね。

図 グループ全体のシナジーで、人と情報、企業、社会のコミュニケーションを支援 アメーバ経営を根幹に、ICT、通信エンジニアリング、環境・エネルギーエンジニアリング、経営コンサルティングの四つの領域で事業を展開。各事業とグループ各社のシナジーを生かしたコミュニケーションの仕組みづくりで、企業の課題解決と社会の成長・発展に貢献している。
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 京セラの経営情報システム部門から分離独立して18年たちました。社名の通りコミュニケーションの仕組み、システムをつくる会社として、四つの領域で事業を展開しています(図)。

 企業の情報基盤となるICT事業のコンセプトは「情報を守る、つなぐ、活かす。そして経営を伸ばす。」です。ICTの開発・導入はもちろん、運用まで含めた費用対効果や業務の効率化をいかに図れるかなど、お客さまの経営とシンクロするような視点から、総合的なソリューションを提案しています。一例として、大手教育産業の添削システムの開発・運用を長く担当していますが、利用者の立場に立った使いやすいシステムと、ご好評を頂いています。

「アメーバ経営」を
根幹に事業を推進

──スマートフォンの急速な普及で、通信エンジニアリング事業も活況のようですね。

佐々木節夫
京セラコミュニケーションシステム社長

1955年生まれ。81年早稲田大学理工学部卒業後、京都セラミツク(現京セラ)入社。95年、京セラコミュニケーションシステム設立に伴い出向。その後転籍し、経営情報システム事業本部副本部長、常務取締役、専務取締役などを経て、2012年4月に代表取締役社長就任。

 スマートフォンやタブレット端末の利用者が増え、通信キャリアの設備投資が活発化しています。特に次世代高速無線通信規格「LTE」の登場で、キャリアごとに分かれていた通信規格が標準化され、無線基地局の設置が加速しています。

 当社は日本全国の基地局の設計・施工から稼働後の運用・保守までワンストップでサポートできます。長い歴史を持つ通信エンジニアリング業界では後発的な存在でしたが、おかげさまで業界内での知名度も向上し、トップ3の次に位置するまで成長してきました。

──経営コンサルティング事業の取り組みはいかがですか。

 当社自身、京セラ独自の経営管理手法「アメーバ経営」を根幹に事業を推進してきました。そして2006年に分社したグループのKCCSマネジメントコンサルティング(KCMC)が、顧客企業へのアメーバ経営の導入と運用・実践を支援しています。

 経営再建を果たした日本航空の場合、アメーバ経営の導入・運用をKCMCが行い、アメーバ経営を運用する情報基盤づくりを当社が担っています。マネジメントシステムと情報システムの両輪を動かすことで経営革新を前進させることができます。事業領域を超えてシナジーを生かした複合的なソリューションを提供できることは、KCCSグループの最大の強みです。

環境と共生する
社会づくりに貢献

坪井賢一
週刊ダイヤモンド元編集長
ダイヤモンド社取締役。1954年生まれ。78年入社。専門は「マクロ経済」。著書に『改訂4版 めちゃくちゃわかるよ! 経済学』『複雑系の選択』(共に、弊社)などがある。編集長在任期間:1999年4月~2001年3月。

──複合ソリューションは、他にどんなものがありますか。

 環境・エネルギーエンジニアリング事業もその一例です。通信エンジニアリング事業とICT事業のシナジーにより、太陽光発電や蓄電、EMS(エネルギーマネジメントシステム)などの各種システムを提案しています。メガソーラーの調査・設計・施工などさまざまな企業ニーズに応えるほか、大手流通企業と店舗向けEMSの実証実験にも取り組んでいます。次世代エネルギーへの移行に対応し、自然エネルギーを活用した、環境と共生する社会づくりに貢献しています。

──市場ニーズの変化に対応する製品・サービスの開発も重要になりますね。

 ええ、その通りです。市場ニーズの変化に柔軟に対応するためには、これまでの事業展開で培ったノウハウや技術を組み合わせ、付加価値の高い製品・サービスを創造していくことが重要です。