シンガポールに現地オフィスを開設、アジア業務を強化

 こうして合弁やM&Aが実現し、ビジネスが動き出してからでも、契約内容に対する相手側の認識の違いから、訴訟を起こされるケースもある。その点、MHM法律事務所は訴訟関連にも非常に強く、進出支援した企業の法務問題を継続的にサポートできるという。

MHM法律事務所、2002年に森綜合法律事務所と濱田松本法律事務所が合併して設立した国内有数の大規模法律事務所だ。前身のひとつである森綜合法律事務所は訴訟関連に強く、濱田松本法律事務所はファイナンス(投資・資金調達)関連のエキスパートとして知られてきた。その両者の強みを融合して、国内はもとより、海外に進出する日本企業にも総合的な法務サービスを提供している。

高谷知佐子弁護士

「当事務所のアジア業務は、1998年に中国・北京オフィスを開設したころから本格化しました。当初は中国進出企業の支援が中心でしたが、日本企業の進出先が多様化する動きに合わせて、インドや東南アジアでの業務も拡充しています」と語るのは、自らもインドとシンガポールでの執務経験を持つ同事務所の高谷知佐子弁護士

 アジア業務強化の一環として、MHM法律事務所は2012年にシンガポールオフィスを開設した。開設当初から、企業で言えば"役員"に当たるパートナー2名を配置。ほかに"社員"に当たる日本人アソシエイトが2名、マレーシア人、ミャンマー人、インド人の弁護士がそれぞれ1名という充実した陣容であり、アジア業務に対する同事務所の意気込みの強さが感じられる。

「シンガポールは、東南アジアのどの国にも飛行機で1~2時間、インドでも3~4時間で行ける絶好の立地にあり、依頼主から相談や交渉事を頼まれれば、翌日にでも駆け付けることができます。そうしたフットワークの軽さも、アジア進出企業をサポートするうえでは非常に重要だと思います」(高谷弁護士