企業が保有する電子データは劇的に増えており、ディスカバリの負荷を増大させている。特に、訴訟に関係する文書、そうでない文書を仕分けるレビューは、かつて人手で行っていた工程だが、これほどデータ量が増えると対応し切れない。そこで、近年はITを活用したアプローチが主流になりつつある。日本において、この分野をリードしてきたのがUBICだ。

武田秀樹
執行役員 CTO
テクノロジー部 部長

 国際訴訟におけるディスカバリの重要性は高い。ディスカバリでは、秘匿特権で守られる文書以外の裁判に関係する情報はすべて開示する必要がある。UBICの武田秀樹氏は次のように語る。

「その一方で、裁判に関係のない情報の開示は不要です。誤って関係のない機密情報を開示するようなことは避けなければなりません。したがって、関係するものとそうでないものをきちんと仕分けすることが重要。これがレビュー(閲覧)と呼ばれる工程です」

 ディスカバリにはデータの特定、保全、収集、処理、閲覧、分析、作成、提出という一連の流れがある。まず、サーバやPCなどに蓄積されている電子データ、紙文書などを収集し、検索などにより絞り込む。その上で、裁判との関係の有無を判断するためのレビューが行われる。

ディスカバリコストの
7割を占めるレビュー

「ディスカバリ全体のコストの中で、レビューは約7割を占めるといわれています」と武田氏。レビューの負荷は年々増している。特に、近年は企業内のデータが爆発的に増えており、必要とされる時間やコストは上昇傾向にある。

「以前、レビューは人手で行っていました。しかし、膨大な電子データが存在する現在、同じやり方で対応するのは困難です。そのため、ここ数年でTAR(Technology Assisted Review)という手法が進化しました」

 レビューの負荷を軽減するため、多くの企業がTARを活用し始めている。レビューの一部をコンピュータに任せることで、時間とコストを圧縮することができる。しかも、ディスカバリの品質向上にも役立つ。

 コスト度外視で優れたレビュアーをそろえた特別チームを編成すれば、確かに人間のほうが確実かもしれない。しかし、いまやTARは人間による一般的なレビューを上回る品質を実現できると武田氏は言う。

ディスカバリの中核を成すレビューを行っている現場。手間や時間、そしてコストもかかるが、プレディクティブ・コーディングによってその効率化が可能になる。

「人間の性格・判断力はさまざまです。同じ文書を見ても、判断が分かれるケースは多々あります。しかも、同じような仕事を長時間続ければ疲れます。一定部分をコンピュータに任せることで、時間とコストを抑えるだけでなく、レビューの品質を高めることができるのです」

 そんなTARの一つがUBICの提供する「プレディクティブ・コーディング(Predictive Coding)」である。例えば、ある日系メーカーは米国での知財訴訟に際してプレディクティブ・コーディングを活用、人的手法に比べてレビューに要するコスト・時間を4割以上削減したという。