外出する際は、人通りの少ないところを避けるのはもちろん、周りの景色にも注意を払う。華やかだった周囲の景色が、急に色あせてモノトーンになったように感じたら、急いで引き返すことだ。実は麻薬取引が行われている場所だったということもある。判断が難しいのは、日本の感覚では安全な場所でも、地元では危険というケースだ。

「アフリカの大都市に行った際、高層ビルの谷間に、日本でいう日比谷公園のようなところがありました。子どもたちも遊んでいるので安全かと思ったら、大間違い。日本人が歩けば身ぐるみ剥がされることもあると言われました。人けのない駐車場などもトラブルが起きやすい場所です。海外の映画を注意して見ていると、危険な場所がよくわかります」

 交通機関を利用する際もトラブルが起きやすい。空港や駅からホテルに向かう際は、歩いて行ける距離でもタクシーを使うのがベストだ。タクシーに乗るなら、流しではなくタクシー乗り場から、正規のタクシーを利用する。ホテルから利用するタクシーは料金が高いこともあるが、お金で安全を買えると思えば安いものだ。

過去の傾向を調べて
テロを回避

 防ぎようがないように思えるテロに関しても、心がけ次第でリスクは減らせる。

「例えば過去にテロが起きている日を調べると、特定の宗教にとって重要な意味を持つ記念日である場合があります。その日を避けるだけでもリスクを減らせます。週末の夜に、人が多数集まる繁華街に行かないことも重要です」

 スリや盗難のリスクを避けるためには、多額の現金や貴重品を持ち歩かないことは鉄則。ただし、多少の現金が急に必要になる場合もある。クレジットカードや海外でも使えるキャッシュカード、ドルなど、複数の手段を用意しておけばいざというときにも安心だ。

 あらためて考えれば、海外旅行時の安全対策は今も昔も変わらない。事前に勉強し、入念に準備し、現地では用心に用心を重ねることだ。政情や景気の変化によってもリスクは変わる。常に情報収集に努め、安全に過ごしたいものだ。