成長市場として注目度が高まってきたインバウンド(訪日旅行事業)市場。この分野で1世紀以上にわたりビジネスを展開してきたのがJTBグループのJTBグローバルマーケティング&トラベルだ。豊富な経験とノウハウ、国内外にわたるネットワークを生かし、訪日外国人旅行者と地域との交流を創造している。

 昨年1年間に日本を訪れた外国人旅行者数が初めて1000万人を突破した。円安やビザ要件の緩和などを背景に訪日外国人旅行者が急増しているのだ。政府は2020年までに訪日外国人旅行者数を2000万人とする目標を掲げている。観光立国と地域活性化の鍵を握るとして注目されるインバウンド(訪日旅行事業)分野で、長年実績を積み重ねてきた企業がある。JTBグローバルマーケティング&トラベル(以下、JTBGMT)だ。

インバウンドに
特化した会社

JTBグローバルマーケティング&トラベル
代表取締役社長 座間久徳

「JTBは1912年に、日本の国際的な地位向上を目的に世界の賓客を呼び込み、もてなすことで外貨を獲得するための機関として発足しました。100年間脈々と続く訪日外国人旅行者のおもてなしノウハウを引き継いでいるのが、JTBGMTです。一人ひとりが民間の外交官のような気概を持って、日本の魅力を世界に伝えることに努めてきました」と同社の座間久徳社長は言う。

 海外旅行では、現地の宿や観光地、交通手段などの手配を専門に行う専門会社が大きな役割を果たす。JTBGMTは、世界の4000社超の旅行会社と契約し、日本市場で圧倒的なシェアを誇るインバウンド専門会社として、訪日外国人旅行者を受け入れてきた。今年ツアー開始50周年を迎えたパッケージ旅行「サンライズツアー」の企画・販売はその象徴といえる。

 昨今ではそこからもう1段階進化して、「DMC」を標榜し、MICE(国際会議やスポーツイベント、展示会など)、教育旅行、ラグジュアリートラベルなどといった多様な分野で、ツアー・イベントの企画・営業だけでなく、付加価値の高いオペレーションまで一貫したサービスを行っている。

 ひと口に訪日外国人旅行者といっても多種多様だ。同社では世界各国の言語、文化・慣習、宗教上の食事制限に対して、最適な形でカスタマイズしたサービスを提供する。こうしたきめ細やかな対応ができるのは、豊富な経験とノウハウを持ち、専門性の高いスタッフを擁するJTBグループならではの強みといえる。

未来へのKEYWORDは、「個人」と「地域」

 2014年の1月下旬から2月上旬、いわゆる「春節」を含むこの期間にJTBGMTが運営している個人旅行者向け予約販売WebサービスJAPANiCAN.comでは、中華圏(中国、香港、台湾)からの旅館・ホテルの予約が北海道、東京を中心に前年比300%を超えた。

JAPANiCAN.comは、日本を訪れる外国人に、日本国内のホテルや旅館、ツアーのオンライン予約・販売、および旅行情報の提供を行うWebサイトで、07年に英語・韓国語・中国語(繁体字・簡体字)で開設。13年には、増大する訪日外国人旅行者向けに大幅にリニューアルし、新たに香港向けサイト、タイ語サイトを作成した。また、多様なニーズにこたえるためツアー商品を3倍に増やし現在は外国人向けツアー全国500コースを販売している。運営スタッフも米国、中国、韓国、タイ、台湾などの出身者をそろえ、外国人の目線でのサイト作りを重視、ブログやSNSなどで日本のタイムリーな情報も発信している。

 このような状況から見える現在のインバウンドのKEYWORDは、「個人」と「地域」である。今後ますますこの傾向は強まるだろう。JTBGMTは、この変化を捉え未来に向かって歩みだしている。

※DMC……デスティネーションマネジメントカンパニー。地域の人たちと共に、地域の魅力を再発見し、磨きをかけ、世界各地から集客を促すことで、地域活性化を図る企業