時間帯ごとの集計が
欠品を最小化する
――日立流通分析ソリューションによって、どのような価値創出ができるのでしょうか。
総合スーパーマーケットを展開するA社の例で説明しましょう。同社の売上データは夜間に集計して、翌日見られるようにしています。経営や現場で見たいデータの切り口が異なるため、168種類の帳票を作成していました。見たいときに、高速処理して見たい情報を提示できればよいのですが、データベースの性能には限界がありました。やむなく、中間集計を行って168種類の帳票を作っていたのです。このため、夜間処理に13.5時間を要していました。
そこで、日立流通分析ソリューションを導入したところ、HADBによる高速データ処理が可能になり、帳票の種類を6種類に絞ることができました。処理時間も劇的に短縮され、現在では約7.5分ですべての処理が終わります。
最大のメリットは、経営へのインパクトが大きいことです。以前は1日単位で行っている売上集計が時間帯ごとに報告されるようになったことで、閉店後でなければわからなかった欠品情報がその日のうちに把握できるようになったのです。それはつまり、機会損失の最小化につながります。
さらに、時間帯ごとの顧客属性に合わせて、棚を変更するなどの施策も可能になります。いまのところは実証実験レベルの取り組みですが、間もなく本格的な稼働に移行する予定です。
ホームセンターB社における実証実験では、店頭で顧客に名札型のセンサーを付けてもらい、顧客がフロアをどのように動くかをデータ化しました。動線のデータに、POSデータや業務関連データを加えた分析によって、店舗スタッフの配置と商品の並べ方を最適化できます。これが、客単価15%増という成果につながりました。
さらに、「価値観クラスター」というアプローチも実践しています。これは消費者の趣味や価値観などを理解した上で、個人に向けて最適なメッセージや提案を行うという手法です。
有名シェフのレシピをもとにしたレトルトカレーを例に説明しましょう。この商品を購入した顧客の中には、「手間いらずだから」と思って手にとった人もいれば、「高級そう」「おいしそう」という理由で買った人もいます。同じ商品であっても、顧客が反応するツボは違います。そのツボを押さえたメッセージを送ることにより、確度の高いパーソナル・マーケティングが可能になります。
小さなPDCAサイクルを
高速回転させる
――顧客の要求度が高まり、多くの企業が多様なチャネルを展開する時代を勝ち抜くためには、ますますスピードが重要になっています。
流通企業は仮説検証やPDCAサイクルのスピードを一層高め、顧客のニーズに対応しなければなりません。例えば、エリアや店舗を限定して新しい施策を実行し、成功すれば素早くヨコ展開するといった取り組みが求められます。小さなPDCAサイクルを高速で回すことが重要なのです。そのためには、業務プロセスを支える基盤やツールが欠かせません。
もちろん、業務ノウハウは重要ですが、それを生かすために必要なテクノロジーもあります。流通ビッグデータを活用することで、ビジネスを大幅にスピードアップすることができる。それは経営全体に関わる大きなテーマです。いかにデータを高速処理するかというだけでなく、データを生かしていかに業務改革を進めるかが問われているのです。
しかし、課題はさまざまです。ときには店舗で、ときにはECで買物をする個人を、同じ人物として認識できなければ、パーソナル・マーケティングの実践は難しい。こうしたチャネル統合のソリューション、また、コンサルティングやデータ分析を専門とするチームなどの総合力を生かしつつ、新しいソリューションに磨きをかけながら、流通各社のビジネス価値創出に貢献していきたいと考えています。
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