山本氏によると、永代供養の本来の意味は、「菩提寺もあり代々の墓もあるが、跡継ぎがなく自分たちの代限りで墓を守ることができなくなったとき、寺に供養をお願いすること」だという。できる限り、身内や親族で先祖を守り抜くことを前提に、やむを得ず寺に任せるというのが本来の永代供養。

「今は、もう少し緩やかな考えになっていて、ご家庭の事情や経済的事情を優先し、人に迷惑を掛けたくないという個人的な考えによるものが主流でしょうか。『永代』という字面から永遠に供養されると思われがちですが、実際は、施主に代わり、一定の時期まで供養するということで、各寺院および霊園など永代供養の取り決め内容によっても期間が異なります。いずれも『20年』『30年』『33年』『50年』までというところが多いようです」(山本氏)

 永代供養には主に、すでにお墓がありそこに眠る故人を供養してもらうケースと、生前に戒名を授けてもらい、永代供養を予約するケースがある。いずれも、身内では墓守りや法事ができないという人に代わって、寺院が責任を持って供養していくということである。

「永代供養は、墓守りや供養を人任せにして、後は関知しないということではありません。先祖を大切にしたい、安らかに眠ってほしいという気持ちを託すということです」(山本氏)

信頼の置ける住職や
霊園管理者を選ぼう

 都会に住んでいる人の間では、地方にある墓を自分が住んでいる近くに持ってきたい、新たに墓地を購入したい、というニーズが高まっているという。遠くて墓の管理が難しかったり、菩提寺との関係が希薄になったり、墓守りの費用が掛かり過ぎたりと、ライフスタイルに合わないことが増えたからだ。

「いつでもお参りに行けて、経費負担も少なく、宗派に関係なく自分のスタイルでご供養できる場所。子どもに迷惑を掛けずに準備ができて、今後の墓守り費用が明確な場所。これが、都市型の永代供養の納骨堂(墓・墓地)などに求められていることではないでしょうか。こうした都市住民のニーズに沿うことも、寺院にとっても霊園にとっても必要なことでしょう」と山本氏は解説する。

 その上で、便宜を図るだけでなく、永代供養の本質を理解してもらうよう、寺院、霊園からの働きかけも大事だと、山本さんは言う。「先祖が眠る墓所を訪れ、安らかにお眠りくださいと祈る時間は、今を生きている人にとっても心鎮まる時間です。永代供養の本来の意味を理解し、納得のいく選び方をしてほしいと思います」。