2011年3月の東日本大震災を契機に、インフラや人員、資金の確保、事業復旧までの順序、手順の混乱収拾といった緊急対策を組織的に策定することの重要性が浮き彫りとなりました。これを受けて、企業のBCP(事業継続計画)に対する課題認識が高まっています。

 BCPを策定していた企業は見直しを図り、何の対策もしていなかった企業は策定に着手し始めるなど、限られた経営リソースをBCP対策に配分する動きが加速しました。特に中小企業にとっては、大企業・中堅企業の多くが「BCP対策を講じていない企業とは取引しない」という方針を掲げたことから、策定の有無が死活問題となっています。

 ところが、実態を見ると、上場企業と未上場企業で策定進度に大きな開きがあり、また中小企業においては、経営資源やノウハウがないといった理由から、二の足を踏むケースが多いようです。

 では、BCPにおける企業の課題とは、具体的にどのようなことでしょうか。

 震災の直後に帝国データバンクが全国1万769社から回答を得た調査結果によれば、「BCPにおいて特に対策が必要と考えられることは?」という問いに対し、最も多く回答が寄せられたのは、「事業所、工場との緊急連絡体制、従業員の安全確認」でした。以下、指揮系統の明確化、ライフラインの確保、情報資産の安全・稼働確保と続きます。

 これら上位の回答から、通信網を寸断させないことが、事業継続の生命線であることは明らかです。もちろん、実際には想定外の展開もあるでしょうが、外部との通信手段を確保するための基本計画があればこそ、臨機応変な対応が可能となります。

 震災後3年を経て、当時現場で対策に追われた人たちは、「情報がないため現状を正しく把握できず、次の一手が打てなかった」というコメントを発信しています。その二の舞を演じないために、電話はもちろんメールやファックスなど、情報収集と発信に不可欠なツールが本来の機能を発揮できない場合の代替手段を整備しておくことが肝要です。これについて、企業のリスク対策ツールとして、初期対応に頼りになる「停電時稼働機」が注目されています。