中長期的な値動きを読み取って、
慌てない投資スタイルを目指そう

今年3月に開通した環状2号線(虎ノ門~新橋間)。開通を祝い、2020年東京五輪のシンボルマークを記したのぼりが立てられるなど、インフラ整備にも期待が集まる(写真・時事)

 注目セクターの最右翼は建設業界。東日本大震災の復興需要に、インフラ再整備を含めたオリンピック需要、さらにはリニア建設が重なり仕事は潤沢にあり、売上高が下がる理由が見当たらない。ただ資材不足、人手不足による高コスト体質が避けられないため、決算内容をしっかりチェックする必要がある。

 不動産業界も絶好調だ。地価は都心部がけん引役となり値上がり圧力がかかっている。国土交通省が発表した14年1月1日時点の公示地価によれば、東京都の商業地は前年までの下落から一転、2.3%も上昇した。東京駅周辺を歩くと実感できるが、大型ビルがどんどん建て替えられている。

 大手不動産に限っても三菱地所は丸の内再構築を継続しているし、三井不動産は日本橋室町東地区開発計画、平和不動産は三菱地所と資本業務提携して日本橋兜町再開発に着手した。個別銘柄を選ぶ自信がなければ日本銀行が金融緩和策の一環として購入を続けている上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を買う手もある。

中国リスクと円高が招く
下げこそ買い場に

 この他、高齢化社会を迎えて「宅食」に力を入れる食品スーパー、日本の新しい輸出産業として期待されるアニメ業界なども狙い目になるが、大きなリスクを取りたくなければ投資信託や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が投資対象にしそうな主力銘柄を検討してみてはいかがだろう。その場合は資本の効率的活用や株主を意識した経営という基準で選ばれた「JPX日経インデックス400」(14年1月から公表が始まった新株価指数)構成銘柄を候補にするといい。

 株価に影響を与える要因として外国為替の動きもウォッチしておこう。村瀬氏はしばらく円高局面が続くと予測する。日銀の追加緩和が秋にずれ込むことが予想されるため円安の流れが止まり、100円を割り込む円高局面がありそう。これは企業業績にはマイナスに働く。

 海外要因もしっかり見ておく必要がある。とりわけ中国。「不動産バブルの崩壊、理財商品のデフォルトなど世界経済に打撃を与える可能性があるためで、ここ1、2年、特に気を付けたい」(村瀬氏)。

 そこで投資のタイミングとしては今年から来年にかけて円高や中国リスクによって株価が下落したところが買い場となる。そして予想では16年、17年から上昇に転じ、18年、19年にピークを迎えるだろう。「下値は1万2000円程度、上値は2万円超えもありそう」(村瀬氏)。長期投資のスタンスだとしても完全放置はお勧めしないが、東京オリンピックという起爆剤があるのだから、目先の値下がりに慌てず消費税増税を吹き飛ばすような大きな利益を狙おう。