企業が収集した消費者のデータを、プライバシーを担保しながら相互利用するための法整備が進みつつある。さまざまな業種間でビッグデータを介した協業の可能性が高まる中、東京工科大学の進藤美希准教授は、データにどのような価値を見いだすかという仮説を立て、検証しながら活用することが重要と指摘する。
ビッグデータ活用を
後押しする政府の動き
消費者の嗜好を知り、それに応じたマーケティング活動を行いたい企業にとって、商品やサービスの購入など消費者の行動履歴を含むビッグデータは宝の山ともいえる情報だ。自社が収集したデータと、関連する事業を展開する他社が収集したデータとを組み合わせて分析すれば、個々の消費者ニーズがより鮮明になり、マーケティングの精度が高まる。
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だが、消費者の個人データはプライバシー情報を伴うが故に、これを侵害する恐れのある安易な相互利用を懸念する声も上がっていた。
そこで政府は今年3月、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室に「パーソナルデータ関連制度担当室」を設置。個人データを加工し個人が特定される可能性を低減したデータを第三者に転売する際は、消費者の同意を不要とするなどの内容を盛り込んだ個人情報保護法改正の検討を開始した。
また、経済産業省は、消費者データの安全な活用を促す目的から、企業が個人情報を安全に利用しているかなどを審査し、認証する制度を年内に導入することを決めている。
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