サービスとは何か?

 昨今、経営者や上級マネジャーは、自社のサービスをマネジメントできることが極めて重要なスキルだと言われ始めています。

 それでは、企業活動におけるサービスとは何か?

 そう聞かれて、ずばり答えられる人は少ないのではないでしょうか。

 実際、ひたすら顧客へ奉仕する、自社の商品・サービスのファンづくり、あるいは顧客生涯価値等々、人によって定義はさまざまです。残念ながらすべての人が納得する定義がないといってよいでしょう。

 サービスは「機能の発揮」のことですが、どんなにすごい機能を発揮したとしても、それがユーザーの事前期待に適合したものでなければ、顧客にとっては「余計なお世話」で、サービスとはみなされません。あるユーザーが満足しても、別のユーザーは満足しない、というわけです。

 タイミングが悪ければ、「親切の押し売り」とネガティブな感じを与えかねません。百人百様といえばそれまでですが、「サービス」か「余計なお世話」かを決めるものは何なのでしょう。

「事前期待」をマネジメントする

『顧客はサービスを買っている』の著書である諏訪良武氏は、サービスを「人や建造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するもの」と定義しています。先の例でいえば、期待していたサービスが提供されたことで満足するユーザーがいる一方で、「余計なお世話」と感じるユーザーにとっては、提供されたサービスが期待以下だった、あるいは期待とは異なるものだったといった状況です。つまり、顧客によって感じ方が異なることを理解していなければ、ベストマッチのサービスは提供できない、というわけです。

 これを企業サイドから見れば、ユーザーの「事前期待」をマネジメントすることで、サービス活動の「伸びしろ」を発見し、その改善によって、最終的に顧客リレーションを向上させることができるはずです。

 では、具体的にどのようにすれば、「事前期待」をマネジメントできるのでしょうか。諏訪氏によると、サービスの本質を理解し、カスタマーサービスを支援するソリューションシステムをうまく活用することにヒントがあるようです。