洗練された手法で
PMIの課題を克服
金巻龍一
米国を代表するグローバル企業で、PMIに10年以上携わった経験を持つ金巻氏は、日本企業がPMIで失敗しやすい理由を次のように分析する。
「多くの日本企業は、M&Aを完了させるまでは専門家の力を借りますが、完了すれば後は自分たちの力で何とかできると考えています。ところが、いざ進めてみると、思ったほどの効果が表れない。そこでようやく、実はPMIを推進するための経験やノウハウが十分蓄積されていなかったという事実に気付かれるようです」(金巻氏)
GCAサヴィアンでは、金巻氏をはじめとする経験豊富なプロフェショナルが、世界的なグローバル企業なども実践しているさまざまな手法を駆使しながら、クライアントのPMIを強力にサポートしている。
具体的な手法の一つとして金巻氏が挙げたのが「プログラムマネジメント手法」の導入だ。
「プログラムマネジメント手法」とは、研究開発、調達、製造、物流、営業、法務、財務、経理、人事、ITといった会社の部門ごとに統合化プロジェクトを組成し、その集合体をコントロールしながらPMIを推進する仕組みである。
「一般的なプロジェクトは、目的も範囲も限定されています。その範囲においては、部門全体をうまくコントロールできるリーダーは存在するでしょう。しかし、PMIは会社全体を統合させる広範囲な取り組みです。特定部門の知識や経験しか持たないリーダーでは管理しきれません。そこで当社は、PMIを『プロジェクト』ではなく、その集合体である『プログラム』として推進することを提案しています」(金巻氏)
それぞれエキスパートが存在する各部門が縦割りでプロジェクトをどんどん進め、プログラム・マネジメント・オフィス(PMO)と呼ばれる機能が横断的に管理・調整する。
「これによって部門ごとの統合がスムーズに進み、会社全体としても、整合性の取れたPMIが実現するのです」(金巻氏)
クロスボーダーの
M&A案件も経験豊富
GCAサヴィアンはこの他にも、各部門のプロジェクトの全容が鳥瞰できる「バーズアイ・ビュー・チャート」、プログラムの進捗や課題がひと目で直感的に把握できる「コックピットマネジメント」など、PMIを成功させるために役立つ多彩なツールを用意している。
08年に米国の独立系投資銀行であるサヴィアン社と経営統合した同社は、米国のほか、英国、ドイツ、インド、中国、アジアにも拠点を展開しており、クロスボーダーのM&A案件についても豊富な経験を蓄積する。
渡辺氏は「『For Client's Best Interest』の精神をしっかりと守りながら、包括的で質の高い、M&A関連サービスの開発・提供に磨きを掛けていきます」と今後の展開を明かした。