全国の中堅企業への戦略コンサルティングで57年にわたり圧倒的な信頼を築いてきたタナベ経営が、新たなコンサルティングモデルへ挑む「中期ビジョン2020」を推進する。そのポイントを若松孝彦社長に聞いた。

タナベ経営 代表取締役社長
若松孝彦(わかまつ・たかひこ)
1989年タナベ経営に入社。2009年専務取締役コンサルティング統轄本部長、12年副社長、14年4月代表取締役社長に就任。関西学院大学大学院(経営学)修了。著書に、『ファーストコールカンパニー宣言』『甦る経営』『戦略をつくる力』『100年経営』(いずれもダイヤモンド社)などがある。

──日本産業、特に中堅・中小企業で業種間、企業間の格差が拡大しているようですが。

若松 アベノミクスによる経済環境の急激な変化に、中堅・中小企業は追い付けていません。インフレ傾向下でもコストダウン要請は止まらず、増収減益の決算を強いられています。要は、いまだデフレ経済下の収益モデルから脱皮できていないのです。インフレ経済下の事業・収益モデルへの転換を急ぐ必要があり、それには「ビジネスモデルの付加価値化」が不可欠です。

──2020年の東京オリンピックが追い風になりますね。

若松 それは間違いありません。国もオリンピック成功のための投資を惜しまないでしょう。

 しかし五輪以後に、人口減少や地方経済衰退などの構造的課題が企業に襲い掛かってくるのも間違いないのです。ですから、20年までの残り6年のうち、前半3年間で「ビジネスモデルの付加価値化」へ挑み、後半3年間を20年以降の構造転換に備える戦略推進期間とする必要があると私は提言しています。その意味で15年からの3年間が勝負となるでしょう。