女性の労働力の潜在性が大きくクローズアップされ、物流業界でも女性の活躍を期待する動きが高まっている。一方で、女性が働く上での課題の解決や企業としての環境整備も求められている。管理部門から物流現場まで様々な舞台で活躍する物流子会社の「なでしこ」が、仕事へのポリシーややりがい、課題について語るシリーズの第2回。今回は大和物流の横山佐和子・東北地区リーダー(仙台営業所所長)に聞いた。

女性初の所長として札幌営業所への赴任

 ダイバーシティ(働き方、人材の多様性)を推進する大和ハウス工業(本社・大阪市北区、大野直竹社長)。第4次中期経営計画ではグループ全体で女性管理職の育成・強化に積極的に取り組んでいる。グループで物流を担う大和物流(本社・大阪市西区、緒方勇社長)で昨年東北地区の地区リーダーに就任した横山佐和子仙台営業所所長は、大和物流で初めて誕生した女性所長。横山氏は「物流は女性とは縁遠い業界と思われがちだが、自分もこれまでやって来られたし、できないことはないと感じる」と話す。

 横山氏は大学卒業後、建設関連の会社に就職。入社時、上司から言われた「1日なら6時間、1週間なら6日、1年なら6カ月――。数字の"6"を意識して成果を出すように」という言葉が強く印象に残っている。結婚を機に退職し、一人娘の育児に専念。その後、転勤族だった夫とともに仙台に居を構え、当時は宮城県名取市にあった大和物流の物流センターでパートの事務員として再び働き始めた。

仙台営業所の所員とともに(中央が横山さん)

 横山氏はこう振り返る。「(物流は)初めてのことばかりで、配車や倉庫での作業も経験した。大和物流は大和ハウス関連の仕事ばかりではなく、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)や通販の仕事もある。辛いこと、うまくいかないこともあったが、楽しんで仕事ができた」。そんな横山氏に転機が訪れたのが6年前。女性初の所長として札幌営業所への赴任が決まった。

 娘が社会人になっていたため、札幌へは単身赴任となった。「主人も私が仕事好きだということをよく分かっていた。ただし、家族の理解がなければ仕事は続けられなかったと思う」。当時、札幌営業所は赤字が続いており、立て直しが必要。「所長として従業員とその家族のことも考えなければならないため責任は重い。自分の後に続く女性社員たちのためにも、絶対に失敗できない」というプレッシャーもあった。

北海道で住宅メーカーの共同配送を実現

 札幌営業所で横山氏は新たな取り組みにチャレンジした。ひとつが住宅メーカー3社による道内共同配送だ。

 従来は釧路や帯広といった遠方に各メーカーがそれぞれトラックを走らせていた。景気が低迷し、コスト削減が必須となっている中、大和物流のトラックによる道内共同配送を提案したところ、各メーカーの理解を得られた。トラックの待機が解消され、周辺地域の環境改善に貢献し、納品先からも評価された。