逆に、このような逸材は、本社とは仲が悪かったりすることも。本社に忠実であろうとすれば、中国人従業員の気持ちは離れて行く、そんな傾向も読み取れる。
言葉や商習慣を覚えた頃に帰任
これではノウハウも蓄積せず
好むと好まざるとに関わらず、日本企業はグローバル化の道を歩まなければならない。昨今は本国での利益低迷から海外売上高への依存が高まる中、とりわけ、アジア、それも中国における事業を頼みの綱とする企業も多い。だが、中国の現地法人の多くが、蓋を開けてみれば、裁判を抱え、未回収金を抱えと泥沼状態……。“ダメ総経理”と言わず、なんと言おうか。
「いや、そうじゃない。本社の人事が成功すれば、現地法人も成功する。逆に言えば、本社人事に海外を見るセンスがなければ終わりってことですよ」と前出のE氏は話す。
現地法人のトップはほぼ3年前後で交代する。2~3年いれば中国語もできるようになる。けれども、ようやく話せるようになり、また、ようやく現地の商習慣がわかってきた頃にはもう帰任だ。総経理が交代するたびに、リセットを繰り返し、ノウハウは蓄積どころか、霧消する。因果応報の因果の部分はここにある。だが、さらにさかのぼれば“本社”にぶつかる。
元国際事業部長、E氏は振り返る。
「私が在任中はひたすら国際人材をストックするために奔走しました。関連部門と国際部がタイアップして、駐在予備軍を3カ月間海外の現場に研修に出すようにしたんです。現地はどこも人手不足だから、下働きもやってくれる予備軍のインターンシップは大歓迎。本人も研修で海外のオペレーションを理解した後に、別の赴任地に駐在となれば非常に仕事がしやすいわけです」
しかし、E氏が会社を去るとこのノウハウは消えた。
「後任者は前任者のやり方を踏襲したがりませんからねえ」
歴史は繰り返す。だから、現地法人は未来永劫、同じトラブルと闘わなくてはならないのだ。



