松江 「相手にきちんと関心を持ってみないと褒められない」というのは納得ですね。「満足BANK」は表彰制度などがあるのでしょうか。

松江 英夫(まつえ・ひでお)
デロイト トーマツ コンサルティング パートナー Strategy&Operationsリーダー。中央大学ビジネススクール大学院戦略研究科客員教授(「実践・変革マネジメント論」)、事業構想大学院大学客員教授。「経営変革」に関わる戦略・組織領域のテーマ(成長戦略、M&A、イノベーション、グローバル組織再編)などを多数展開。主な著書に『ポストM&A成功戦略』、共著に『クロスボーダーM&A成功戦略』(いずれもダイヤモンド社)など。
本連載をベースにした書籍をダイヤモンド社より発売予定。

木川 ポイントが累積でたまっていくにしたがって、銅、銀、金、ダイヤモンドのバッジが与えられます。

 「満足BANK」には、おもしろいエピソードも多いです。たとえば、ある宅急便センターで受付をやっているゲストオペレーターという役割の女性社員の場合、周りのセールスドライバーから仕事で注意を受けることはあっても、褒められることがあまりありませんでした。それでモチベーションが下がり、「辞めよう」と決めた人がいたんです。

 最後だからと初めて「満足BANK」を覗いたら、いつも怒っているセールスドライバー達が自分のことを褒めていた。それを知り、結局辞表は撤回したのです。辞表撤回後もセールスドライバーは、それまでと同じように叱られてばかりなのに、「満足BANK」で褒めてくれていることを知っているから、逆に叱られるのが心地よくなってしまう(笑)。

 普通の会社でも難しいと思いますが、われわれは「褒める」文化がなかったですからね。でも、そんな文化で働いてきた社員たちが、わざわざ自分で入力して、同僚を褒めるわけです。

「満足BANK」のポイントに応じて贈呈する満足バッジ(左から時計回りに銀・金・銅・ダイヤモンド)

松江 日頃は言葉に出さなくても、実はお互いに伝わるものが伝わっているということですよね。従業員の皆さんの絆を感じるエピソードですね。

木川 この10年間で、社員の気持ち、社員の満足度を推し量る、あるいは、それをもっと進化させるとか、いいDNAを伝承するためのさまざまな仕掛けの導入を試していきました。そういう仕掛けを組み合わせながらやると結構自然に機能し始めました。

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スキー宅急便が成功した秘密

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