「ストーリーのあるコンテンツ」
という持ち味は貫き通す

片や、日本の本社を任された横田氏と、北島氏はどう動いたのか?
「僕には津谷のように、創業者として組織をグイグイ引っ張っていくトップダウンの力はない。だからこそ、社内のメンバーたちととことん議論を交わしながら答を導き出していくボトムアップを意識しています。トップダウンとボトムアップの使い分けは簡単ではありませんが、メンバーたちが遠慮なく意見を述べやすい環境を作り出せるようにバランスをとっていきたいと思っています」(横田社長)
こうして次の世代がボルテージの新たなページを作っていこうとしているわけだが、ある意味では先代の経営陣以上に大きな難題と立ち向かうことになる。
現実的に考えれば、恋愛ゲーム市場が今後もさらに何十倍規模にまで拡大していくことは難しい。しかしながら、どこまでも利益成長を遂げていくことが、上場企業に与えられた命題なのだ。

「さらなる成長をめざしていくうえでは、海外市場の開拓とともに、男性のユーザーをいかに増やしていくかが大きなカギ。とはいえ、男性向けであっても、あくまでストーリー性のあるコンテンツに限定するという縛りは取り払いません。当社のコンテンツテーマである『恋愛と戦いのドラマ』、この制約から、またも新たな発想が生まれてくるはず」(北島副社長)
実は、すでに新生ボルテージのチャレンジは具体化し、着実に成果を上げている。男女を問わず楽しめるノベル形式のサスペンスアプリ『新・生存率0%! 地下鉄からの脱出』をリリースし、大ヒットを遂げているのだ。
胸がキュンとなったり、ドキドキハラハラしたりと、とにかく心が動かされるからついつい夢中になってしまう…。これがボルテージの創り出すコンテンツに共通している仕掛けであり、この軸がブレないようにしているものこそ、同社の最大の財産である「フォーマット」なのだ。