法人向け、個人向けに関わらず、顧客に対して製品・サービスの説明を行い、きちんと理解してもらわなければ売れない商材は数多く存在する。インターネット全盛時代となった今でも、こうした商材を販売するためにはフェイス・トゥ・フェイスの営業活動が不可欠だ。
そこで多くの企業で導入が進むのが、営業支援ツール(以下SFA)や顧客管理ツール(以下CRM)だ。
SFA/CRMは、スケジュール管理や日報などの報告業務、顧客情報の管理など様々な業務を管理できる機能を備えるが、最近ではスマホなどを活用し、外出先でも情報の閲覧・共有、インプットができる機能まで備えているものも登場している。
「当社の顧客でも営業支援ツールや顧客管理ツールを導入する企業は年々増えてきています」と、世界的なSFA/CRMプラットフォーム提供企業であるセールスフォース・ドットコムのアプリケーションパートナーで、地図情報を活用したクラウドサービスに定評があるオークニーの森亮・代表取締役兼CEOは話す。
だが、続けて森氏は意外なことを語る。「実は、当社もセールフォースの『sales cloud』を導入して1年ほどは現場に定着せず、活用できていなかった時期がありました」。SFA/CRM活用のプロであるオークニーですらそうだったように、SFA/CRMを導入する企業は増加しているが、それらをうまく活用して売り上げを伸ばすことができないのは、なぜだろうか。
読者アンケートでも
営業現場で起きている課題が浮き彫りに
そこで、ダイヤモンド・オンラインでは、この事実を検証するため、SFA/CRMを導入した企業ユーザーに対してアンケート調査※を行った。
その結果、SFA/CRM導入後の成果について「顧客管理の強化」「情報の共有・活用が実現できた」と答えた人はそれぞれ4割程度だったのに対し、「営業力の強化が実現」でき、「売り上げが伸びた」は、わずか2割にとどまった。(回答例1)
※オンラインアンケート実施要領:「ダイヤモンド・オンライン」メルマガ会員に対するオンラインアンケート。2015年2月18日~3月10日実施、有効回答数=293
また、導入効果が上がらない理由として、6割強の人が「運用面、特に情報入力ができず定着しなかったことが原因」と回答。営業担当者に情報入力を徹底させることができない→データが貯まらない→SFA/CRMが本来持つ機能を活かしきれず、結果売り上げが伸びない、という悪循環の構図が浮き彫りとなった。(回答例2)
この点について、森氏は「営業担当者と顧客との“ラストワンマイル”をつなぐことができなかったことが原因です。世の中にあるSFA/CRMにはオフィスでは使えても営業活動の現場で使えるものが少なく、営業担当者の行動を支援するツールとなっていないため、結果的に営業担当者に受け入れられなかった可能性が高いのではないでしょうか」と指摘する。
では、営業担当者の行動を支援するツールとはいったいどんなものなのだろうか――。