キャッシュフロー経営を
背景に注目集めるSCF

みずほ銀行
グローバルトレードファイナンス営業部 部長
野一色道雄

財務基盤の強化を目的として、グローバル・ベースでのキャッシュフロー経営に注力する企業も多い。そうしたなか欧米を中心に貿易金融の領域で急速な発展を遂げた決済・資金調達手段がサプライチェーン・ファイナンス(SCF)だ。「モノを仕入れるバイヤーからすると、支払期日を延長することができればキャッシュフローに余裕を持たせることが可能になります。支払先(サプライヤー)に対する資金手当の提案を行えば、バイヤーとサプライヤーの取引関係強化にも結びつくと思われます」。グローバルトレードファイナンス営業部長の野一色道雄氏はこう話している。

 SCFの導入効果が出やすいのは、電機、自動車、小売りといったサプライヤーの裾野が広い業種。地域としては、そうした産業が集積している華南、東南アジア、メキシコなどが挙げられる。みずほ銀行では現在、香港でSCFサービスを提供している。アジア地域ではバンコク、シンガポールでのシステム開発を急いでおり、今後はロンドン、ニューヨークなど欧米地域にも順次展開していく予定だ。

 CM、外国為替、SCF――。みずほ銀行が提供するGCM関連プロダクトは、日系企業に留まらず、非日系企業にも支持が広がっている。「お客様の課題分析からスタートして、お客様にとって最も効果的で、かつ実現性の高いソリューションをご提案し、サービス稼働までしっかりサポートする点が大きな強みであり、当行が競争優位に立つ場面も増えてきました」と瀬田氏は話している。

国内外に新しい部門を
立ち上げサポート強化

みずほ銀行
アジアトランザクション営業部
部長 大橋 傑

 GCM関連プロダクトの拡充の一方で、セールス部門の体制強化も進んでいる。2014年10月、シンガポールに新たなセールス部門が設立された。その狙いについて、アジアトランザクション営業部長の大橋傑氏は、次のように話す。「アジア・オセアニア地域において、ますます重要な経営課題となるCM機能の高度化に資するソリューションをワン・ストップで提供すべく、既存の各専門部署を統合し、立ち上げました」

 アジア・オセアニア地域に進出する日本企業のなかには、各国に複数の拠点を持ち、シンガポールに統括会社を設立して、地域のハブとして機能させようとす
る取り組みも多い。しかし、理想的な統括機能を実現する企業グループは少ない。「グループのCM機能高度化による企業価値向上の実現を目的として、お客様の海外進出形態やステージに合わせ、企業グループの業務効率化、資金効率化、リスク管理・ガバナンス強化の観点から最適なソリューションを提供していきたい」と、大橋氏は意気込む。

みずほ銀行 トランザクション業務部 部長 富永直彦

 また、2015年4月には、大企業の高度なトランザクション・ニーズに対応する営業部門が国内に誕生する。「大手日系企業において、トランザクションの高度化・複雑化・クロスボーダー化が進展し、テーラーメードで提案・実行するケースが急増しています。商流全般をグローバル・ベースで一元管理し、海外拠点の資金管理などを国内の親会社で主導するケースも相次ぐなか、国内の親会社に対するソリューション提案をワン・ストップで行うための体制強化が不可欠となっていました」。その背景と目的を、トランザクション業務部長の富永直彦氏は、こう説明する。

 新しいチームには、資金管理や内外為替、貿易金融、SCF、マーケットなどの各専門知識を持った人材を配置。営業部門や「トランザクションユニット」のプロダクト専門家と連携し、複合的なソリューション提案を行っていく。

 企業にとっての真の経営課題を顕在化し、ユニット一丸となって最適なソリューションを構築していくみずほ銀行のトランザクション・サービスは、日系企業のGCMに対する取り組みをもう一段飛躍させ、グローバル市場での競争力の強化へ導こうとしている。 

みずほ銀行は、グローバル・キャッシュ・マネジメントに関するさまざまな商品、サービス・ラインアップを、『MIZUHO Global e-Sett.』として、顧客に総合的に提供している。