大型M&A案件も成功報酬
のみで支援する理由

 こうしたリスクを負ってでも、同社が依頼主のメリットを優先する理由は、「顧客主義に徹することが、ひいては、優良なクライアントから依頼を受けることにつながるから」と藤井社長は述べる。

 それは、中堅・中小企業を中心に、これまで100件に及ぶM&Aを成功させてきた実績に加え、近年は、譲渡価格で数百億円以上の大型M&A案件にも「完全成功報酬制」を適用し、成功に導いてきた実績からも証明されている。

 このような大型案件をメガバンクや総合証券会社などが仲介する場合、経験豊富なトップクラスのアドバイザーを半年以上も関与させる都合上、「完全成功報酬制」ではあまりにもリスクが大きくなる。

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 インテグループでは、大型案件は年間3~4件しか対応できないが、藤井社長や同社の役員が直接案件を担当することによって、リスクを取って対応する。

「もちろん、大型案件に関わればそれ相応の時間を要しますし、成約に結び付かなければ、その間の働きがムダになることもあります。それでも、そういう前提のなかで、売り主、買い主の双方と十分に話し合い、信頼関係を築いて成約に至るように努力しています」(藤井社長)

 同社では、1人の担当者が営業から成約までの全てを受け持つ、一気通貫のM&A支援サービスを提供している。その分、依頼主との信頼関係やコミュニケーションが深まり、サービスの質やスピード感も高まるようだ。

 藤井社長は、M&A仲介会社がサービスを提供していくことには、3つの社会的な意義があると考えている。

 1つ目は、後継者問題などを抱えている優良な中堅・中小企業が、社員や取引先に迷惑を掛けることなく承継を成し遂げ、存続・発展するのを支援すること。

 2つ目は、リスクを取って会社を興したベンチャー起業家が、創業者利益を得て報われるよう支援すること。

 3つ目は、M&Aによる相乗効果を促して、日本全体の経済の効率性や社会の利便性を高めること。

 これらを実現するためにも、「わかりやすくリーズナブルな報酬体系だけに限らず、依頼主が利用しやすいM&A支援サービスのあり方を追求していきたい」と、藤井社長は決意を新たにする。