マイナンバーの管理をシンプルにする
クラウドがもたらすパラダイム転換

 私はマイナンバー制度をきっかけに、中小企業のクラウドサービス利用が大きく進むとみています。中小企業はこれまで、クラウドのメリットを享受することがほとんどありませんでしたが、マイナンバーの管理をクラウド化することでリスクを軽減できますし、その運用がいかに簡単かということを実感できるはずです。

 例えば、マイナンバー導入を機に税務・会計システムをクラウド化するメリットとして、次の3つが挙げられます。

 まず、個人番号の入力と確認に税理士を介在させず、従業員本人が直接行うことで、税理士事務所からの番号流出リスクを防ぐことができます。

 次に、万全なセキュリティ対策が施されたクラウド上で番号を保管し、本人しかアクセスできないようにすることで、保管のための設備など余計なコストが必要なくなります。

 そして、マイナンバーの記載が必要な申告書類が自動でバーションアップされるようになっていれば、更新の手間が一切かかりません。

 つまり、金庫に入れて番号を守るのではなく、そもそも番号を持たない。マイナンバーを持たずにマイナンバーを管理するというパラダイム転換をクラウドはもたらすのです。

 税理士の人たちは今まさに、マイナンバー対応に関する情報収集を積極的に行っている時期だと思います。当社では6~8月に税理士向けにマイナンバー対策のセミナーを全国各地で開催していますが、反響が非常に大きいですね。

 そうした点からも、クラウドの本質的価値に対する税理士の人たちの感度が高くなっていることを感じます。

 その意味で、今年は“クラウド元年”になると言ってもいいのではないでしょうか。

 当社では、8月に税理士のためのクラウド会計・税務・給与システム「A-SaaS(エーサース)」のマイナンバー対応版をリリースする予定です。10月に自治体が住民に個人番号を通知しますが、その時点で当社のシステムに入力してもらえれば、来年1月からのマイナンバー制度開始に十分間に合いますし、マイナンバーの通知カードを紛失して個人番号がわからなくなるというような事態も避けられます。