500人規模のホワイトカラーがいる企業で、年間40%もの時間節約にこぎ着けた例がある。40%の削減は社員200人分に相当する。これを可能にしたのが、HIT法という業務改善の最強ツールだ。HIT法の生みの親である、システム科学代表取締役社長・石橋博史氏が語る、「最少人数で最強組織をつくる」方法とは?

石橋 博史
一般社団法人 可視経営協会 理事
システム科学 代表取締役社長

 HIT法=Human resource & Intelligence Technologyとは、業務プロセスを可視化し、改善手法を編み出す手法だ。トヨタのカンバン方式などでものづくりの生産性が高まったように、ホワイトカラーの業務でも生産性を高められる。

 石橋氏がHIT法を指導するときは、「若い人には一生懸命に働いてもらい、年寄りは知恵を出すことに専念いただく。しかし、若い人は1日8時間仕事をすれば十分だ。残業なんてやらなくても良い仕組みをつくる」と宣言する。誰も信じないが、指導企業は皆、そうなっていく。なぜだと思われるだろうか。

世界のサムスンもモノづくりに苦戦した。
管理はずさんを究めていた

 自動車機器メーカーに勤務していた石橋氏は、トヨタ生産方式と出会い、それを発展させるHIT法を編み出してコンサルタントとして独立した。コンサルタントという仕事人として、またHIT法の内実を大きく飛躍させてくれたのがサムスン電子への指導経験だった。

 1987年、石橋氏は日本能率協会の紹介で、サムスン電子の製造現場の改善指導を行うことになった。ソウルの南の水原(スウォン)という工場だった。工場棟入り口に検査係の社員が3人おり、その背後に1年半前の出荷ラベルが付いた在庫があった。それを見た瞬間に、「この工場は数字が合ってない」と直観した。そしてそれは正しかった。

 そもそも、モノの品質は数字では語れない程の品質であった。トヨタラインを模したアンドンのついた工程は、型ばかりの見せかけラインで完成品検査では、流れてきた製品をセンサーがチェックするのだが、センサーの表面を手で覆い、製品を抜き取ってしまう輩がいる。マネジメントは完全に不能状態にあった。

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