企業向けに加えて
消費者市場、スマホにも製品を投入
ハードウエア機器、つまりアプライアンスにヒューリスティック技術を搭載して提供する競合企業もあるが、FFRIはエンドポイント(PCなどの端末)にインストールするソフトウエアにこだわっている。これも、同社製品の1つの特徴だ。
アプライアンス製品には導入が簡単、すぐに使えるというメリットがある。その一方で、一旦通したトラフィックを後追いで解析するため、感染の可能性がある。感染後は緊急対応することになり、人手もコストもかかる。
これに対して、エンドポイントに着目するFFRIのアプローチは、PCなどへの導入の手間はかかるものの、高度な防御態勢を構築できるというメリットがある。鵜飼氏は「FFR yaraiなら、検知・防御できるので、緊急対策が不要です」という。
2015年3月末の時点で、FFRIが提供しているライセンス数は40万超。そのうち半数以上が官公庁で、特に中央省庁へのライセンス提供が多い。
「セキュリティが極めて重視されるような政府機関のシステムの多くで、当社製品が導入されています。一方の民間企業では、各産業のリーダー的な企業を中心に、導入されるケースが増えています。ただ、当社にとっての成長余地はまだまだ大きい。当社のビジネスは間接販売が主体ですが、幅広い企業に対して、積極的にアピールしていきたいと考えています」(鵜飼氏)
法人だけでなく、消費者市場への取り組みも強化しつつある。この7月に、個人・SOHO向けの「FFRI プロアクティブ セキュリティ」を発売。この製品にも、同社の強みであるヒューリスティック技術が搭載されている。
また、昨今セキュリティリスクへの懸念が高まっているスマホ分野でも、Android端末向けに「FFRI安心アプリチェッカー」という製品を提供している。
「特にAndroidスマホを狙った不正アプリが急増しています。不正アプリを素早く診断するのが、FFRI安心アプリチェッカー。デバイスへの負荷が小さいので、バッテリーの制約が大きいスマホに非常に適しています」(鵜飼氏)
エンタープライズ向けから消費者向け、さらにスマホ分野へとFFRIの守備範囲は拡大している。ただ、独自のヒューリスティック技術を武器に、エンドポイントセキュリティ対策にフォーカスするという立ち位置は変わらない。同社はそのコア技術を磨き続けて、R&D特化型セキュリティベンダーとしての存在感をさらに高めようとしている。
(取材・文/ダイヤモンドIT&ビジネス)