世界3位のゴルフ大国
果たしてその実態は……

 日本のゴルフクラブの歴史は「真のカントリークラブ」とはほど遠いものだった。企業の接待用に開発され、そして普及してきたと言っていい。特にバブルの前後からは日本の発明「預託金制度」が投機目的のゴルフ場開発を後押しした。そのため、現在、ゴルフクラブは全国に2400もある。ゴルフ場の数だけで言えば日本はアメリカ、イギリスに次いで世界第3位だ。しかし、プレーヤーの行動はどこのゴルフクラブでも似通っている。せかせかとプレーをし、ひと風呂浴びて帰るだけ。メンバー同士の交流もなければクラブに対する愛着もない。

 いったい、日本のゴルフクラブはこうした形のものだけでいいのだろうか。そうした問いに対する答えがジャック・ニクラス設計のコースを持つ東京クラシッククラブだ。リーマンショック、東日本大震災以後の価値観の変化に対応し、しかも、これからの百年を見通したカントリークラブと言える。

真のクラブライフを
築き上げる担い手とは

 さて、ジャック・ニクラスの話に戻る。

「アメリカでもヨーロッパでも乗馬ができ、ゴルフができるカントリークラブはいくつもある。乗馬クラブの方が先にできて、そこにゴルフコースが併設されたというカントリークラブも少なくない。私は『休日には家族とゆっくり過ごす』ことを大切にする東京クラシッククラブのポリシーに賛成だ。こうした真の意味でのカントリークラブを目指すクラブができることは歓迎すべきことだろう」

 彼はコース設計については次のように言っている。

ゴルフコースの造成を見守るジャック・ニクラス氏。設計家としても名高い。

「ゴルフコースはまず何よりも景観が美しくなくてはならない。それがもっとも重要だ。このコースは土地そのものがすばらしかった。樹木もたくさんあったし、水にも恵まれている。ゆるやかな起伏があり、ゴルフをしていて楽しくなるような地形だ。そして、私はコース内に多くの樹木を配した。ただし、樹木があることによって、プレーヤーにペナルティを課すような設計にはしていない。樹木はあくまで景観のためにある。このクラブは、今流行のやたらと距離のあるコースではないが、ショットバリューもあれば戦略性もある。グリーンの大きさは中くらいだけれど、小さくはない。アスリートにもアベレージゴルファーにも楽しめる。私はもう“オジイサン”だから昔ほどの実力はない。でも、そんな私でも何度もプレーしてみたくなるコースになったと自負している」

 最後に、彼が考える真のクラブライフとはどういうものかを尋ねてみた。

「私にはアーノルド・パーマーという尊敬すべきライバルがいた。彼とは50年近くにわたり、死闘を繰り返した。コンペティションの間はいつも打ちのめしてやるとしか考えていなかった。だが、いったん、プレーが終わったら、私たちは握手をして、一緒にクラブハウスで晩飯を食った。ゴルフはあくまでもゲームだ。負けたからと言って人間性が棄損されたわけではない。ゴルフは人と人が触れ合うスポーツであり、人と人との関係をより近づけることができる。ゴルフを通じて、知り合いになり、関係を深めることが重要なんだ。

 私の役割はコースの設計だ。だが、クラブとクラブライフを完成させるのは私の役割ではない。クラブライフを充実させることができるのはメンバーひとりひとりだ。メンバーがみんなでクラブを作り、クラブライフを豊かにしていく。東京クラシッククラブではそれができると信じています」