好調な関東進出を
足掛かりに全国へ

独立開業した初年度は64件だった葬儀は現在、年間約7000件に。2014年は売上高95億円を達成、東証1部・名証1部に指定替えをした。15年は売上高100億円、経常利益9億8000万円を見込む。近親者で見送る「家族葬」が増え業界の葬儀単価が低下傾向にあるが、ティアでは家族葬にとどめず親交のあった人たちも招いて故人さまを見送る「感謝葬」を提案。
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──12年9月、関東に進出し、現在埼玉県に2店(ティア越谷、ティア鳩ヶ谷)を展開中です。15年11月には神奈川(ティア相模大塚)、16年1月には茨城(ティア土浦北)にフランチャイズ(FC)で出店を予定しています。東京も含めた関東エリアの現況をどのように評価していますか。

冨安 ティア越谷は3年目で単年度黒字のめどが立ちました。名古屋・大阪進出時に比べて黒字化の速度が非常に速く、巨大市場でティアの方針が受け入れられたことに安堵しています。

 ただ、東京とそれ以外の関東では戦術を変えており、東京以外の関東では比較的地価が安いので土地を借りて会館を建てる名古屋方式が通用しますが、都内は地価が高い上に斎場が多数あるため、既存の斎場を利用して葬儀を請け負う無店舗展開を計画しています。

中部・関西エリアの出店戦略は「ドミナント出店」。1会館当たり直径3キロメートルを商圏に設定し、絞り込んだエリアに直営店やFC店を集中的に展開することで、効率的な会館運営と知名度の浸透を図る。2012年に進出した関東エリアでは先行した埼玉に加え神奈川、茨城にもFC店を開設予定。東京都心部は、既存の斎場を利用して、葬儀を請け負いながら知名度を高める戦略だ。
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 関東でティアのブランドを確立した後、全国展開を目指します。中長期目標では、会館数200店、売上高165億円(15年8月23日現在79店、14年9月期95億円)。今後の出店戦略としては中部・関西・関東を中心に年間4~5店のペースで出店を行い、既存店は年間2~3店ペースで小規模葬儀に対応した改装を進めていきます。

──全国展開のためにフランチャイズも積極的に活用していく計画ですね。

冨安 FCクライアントは8社で、中部、関西に出店しています。今年3月に新規クライアント2社とFC加盟契約を締結しました。M&Aも選択肢に入っています。葬儀社の事業者数は全国で9000社を超えていますが、大半が個人業者で経営者の高齢化が課題となっています。エリア内のシェアの高い事業者であればグループ内に取り込むこともあり得るでしょう。