歴史を伝承しながら
災害に強い街を創る

「京橋再開発プロジェクト」を中央通りから見ると、右手に1933年に建ち、中央区の文化財にも指定されている明治屋京橋ビルが免震改修などを施した上で再生・保存されている。左手には、景観に配慮して高さを100尺(約31メートル。大正時代の市街地建築物法の規制をルーツとする街並み高さ)にそろえた再開発棟の低層部が並ぶ。「明治屋京橋ビルの歴史的意匠を現代的に解釈したデザインを採用」したというこの低層部は、中央区の公共公益施設と商業施設とで構成される。約31メートルの開放的なガレリア空間を生かし、店の内と外を一体化して使用できるデザインは、欧風でありながら、開放的だった江戸期の京橋の様子を今に再現したという解釈もできる。

 超高層オフィス棟は、1フロア約820坪でエリア最大級、また国内最高クラスのスペックを誇る。

 災害に対するBCP(事業継続計画)支援機能も万全だ。オフィス棟には、超高層ビルでは希少な中間層免震構造を採用し、大地震に見舞われても主要機能を確保する。災害や送電トラブルなどによる停電には、3回線受電方式で対応。非常時には、ビル側非常用発電機から貸室へ電源を供給するほか、入居者用の非常用発電機設置スペースも用意した。施設内には防災備蓄倉庫を設け、帰宅困難者支援拠点としても地域防災に貢献する。

 永藤部長はこの事業を「次世代の再開発事業」と位置付ける。

「当社には、権利者と共にプロジェクトを創り、喜びを分かち合う『共創型再開発』のDNAがあります。完成後は、時間と愛情をかけたタウンマネジメントを通じて、この街を育てていきます」

 時間の経過とともに育つ街。「京橋再開発プロジェクト」は京橋で働き、京橋を訪れる楽しみを与えてくれる。