外に出るだけで汗が吹き出した今年の夏。息苦しい猛暑のなか、吹き出す汗とともに気になったのが、自分や周囲から発せられる「ニオイ」だったのではないだろうか。

 25~49歳の働く男女(1117名)に「職場において同僚など周囲の人の容姿や身だしなみで『どうにかしてほしい』と思うのはどんなことですか?」と尋ねた調査では、「ニオイ(体臭)」と答えた人が全体の約6割を占め、トップとなっている(2014年5月マンダム調査)。今やニオイは、新たな職場問題の1つとして顕在化しているようだ。

マンダム商品PR室 下川麻友さん

 このようにニオイで周囲に不快感を与えるスメルハラスメント、通称・スメハラという認識も浸透するなか、社員教育の観点から対策を行なおうとする企業が増えはじめている。そんな企業のスメルマネジメントをサポートしているのが、化粧品メーカーのマンダムだ。なんと同社は依頼のあった企業に赴いて、社員教育の一環として「においケアセミナー」を実施しているという。

「以前から夏前になると、プレス向けに“においケアセミナー”を実施していました。そんななか、このセミナーに関する記事をご覧になったエプソン販売様から『うちでも実施してもらえないか』というご要望をいただいたのです。それはおもしろい!と2013年夏に同社でのセミナーを試験的に実施、手ごたえを感じて翌年6月からは、『スメルマネジメント』活動として本格的に一般企業向けにもセミナーを開始しました」(マンダム商品PR室・下川麻友さん)

 下川さんはじめ商品PRのスタッフは、依頼を受けると同社の研究員とともに企業へ赴き、意外と知られていない年代ごとに変化していくニオイに関する基礎知識から正しい対策法までを解説している。これまでに25件のセミナーを実施し、1293名が参加してきた(2015年9月現在)。ただ、セミナーは無料のため、すべての依頼に答えることは難しいという事情も。そこで今月には、セミナーへPRスタッフ・研究員が自ら赴かずとも企業側が「においケアセミナー」を受けられるよう、同社の監修したeラーニング「スメルマネジメント」がリリースされたばかりだ。

 とはいえ、いまも申し込みは後を絶たない。では、セミナーを申し込む企業はどんな課題を抱えているのだろうか。

「セミナーを申し込まれる企業のご担当者は、社員とお客様の両方から社員のニオイに対する苦情を受けていらっしゃいます。でもデリケートな問題なので社員自身に『ニオイが気になる』と個別に指摘するのは難しい。そこで、社員教育の一環として行う私たちのセミナーを利用していただいているのですが、集団でニオイの問題を学べて集団でレベルアップできると好評です。また、セミナーではニオイについて年齢別・部位別に対策法をご紹介しているので、わかりやすいとの声もいただいています」(下川さん)

 周囲がなかなか指摘しづらいニオイの問題。特に40代以上になると身だしなみへの意識が以前よりも低下する男性は少なくないが、逆に40代以上こそ実は気にすべき理由がある。30代後半になると男性は、50代以降に本格化する枯れ草のようなニオイと言われる“加齢臭”とは異なる、使い古したアブラっぽい“ミドル脂臭”という特有のニオイを発するようになるからだ。その主な発生源はというと、「耳の後ろ」を想像しがちだが、実は「後頭部」と「首の後ろ」だというから「枕のニオイ」を家族から指摘されている男性は心当たりがあるのではないだろうか。