グローバル競争の激化とともに、経営資源をコア業務に集中し、「強み」をより強固にする取り組みは不可欠になっている。
特に少子高齢化の進展とともに、優秀な人材の確保がますます困難となっている今日、人事、総務、福利厚生といった非コア業務をいかに合理化し、コア業務に人材を集中するかが大きな課題だ。
この問題を解決する手段として注目されているのが、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の活用である。
BPOとは、文字通り、企業活動における非コア業務(ビジネスプロセス)を外部へアウトソーシングすること。欧米企業の間では競争力を拡大するための手段として積極的に活用されており、近年日本でもニーズが高まっている。
矢野経済研究所の予測によれば、日本のBPO市場は2012年度の約3兆3900億円から、18年度には約4兆円規模まで拡大する見通しだ。
人材不足の深刻化に加え、マイナンバー制度関連業務の増加、2020年東京オリンピックを意識した新規事業に伴う業務の拡大などがニーズに拍車を掛けるとみられている。
だが、海外と比較すると、日本企業によるBPOの活用は依然遅れている。さまざまな理由が考えられるが、日本では業務を個人個人の裁量に任せている企業が多いことや、業務プロセスの見える化・マニュアル化が進んでおらず、外部に出しにくいことなどが問題と指摘されることが多い。
経験豊富なBPOサービス会社は、業種や事業規模ごとに最適化された業務プロセスに沿ってサービスを提供するので、むしろ委託することによって非コア業務の効率が上がることが多いようだ。鶏が先か卵が先かではないが、まずはBPOを利用することがコア業務を含む会社全体の変革を促すきっかけとなるかもしれない。
ただし、欧米企業にとってBPOの本来の目的は、合理化だけでなく、国際競争力を高めることにある。その点、たとえ間接業務であっても、それが競争力の源泉になっているような場合もある。アウトソーシングをする前に、自社の競争力の源泉とは何かをあらためて問い直す必要があるだろう。