“京都府外の人”が
町家を買える仕組み
なぜ“府外の人”が、京町家を買うのか。鍵となるのが活用法だ。
続いて見せてもらった町家にその答えがあった。市営地下鉄「四条」駅から徒歩10分の、下京区麩屋町(ふやちょう)通にある町家。ここは現在、宿泊施設となっている。泊まりたい人はインターネット経由で申し込む。1泊2万6000円(2名で利用の場合)の1棟貸しだ。驚いたことに、2015年8月の稼働率は95%。年平均でも約75%と非常に高い。
「当社は年間100棟程度を扱い、そのうち9割が町家です。京都市内のお客さんは約40%。首都圏の方が25%ほど、海外の方も10%ほどおられます」(西村専務)。
セカンドハウス需要が高いわけだが、そうした人たちは通年住むわけではない。空けている期間を「宿」として貸し出せば、町家の維持費を捻出でき、さらにいくばくかの収益も期待できる。
ネット予約制なので、自分が使いたい日があれば、「正月と、祇園祭、五山の送り火の日は自分用」という具合に押さえておけばよい。旅館業や消防法上の許認可は得ており、維持管理と集客は八清と協力会社が行ってくれる(有料)。仮に「年をとったら京都に移住しよう」となった場合は、いつでも自宅に戻すことができる。
「こうした小ぶりな町家は、個人の住まいとしても、投資用と考えても流通しやすく、再販売も容易です。蔵があるような大きな町家は金額も張ります。そうした町家はシェアハウスにして若い方々に住んでもらう一方で、投資家に販売しています」(西村専務)
「住む」「貸す」「売る」の切り替えが簡単な体制が整ったことで、町家流通に弾みがついた。
もちろん投資目的だけでなく、自分で古い町家をリノベーションして住むという人々もいる。市内には町家を改修する工務店も多く、昔に比べ選択肢は広がっている。
■この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2015年11月29日号『中古住宅リノベーション自由自在!2015秋冬』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。
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