多様化する
国際系の学部・学科
その文系の中で目立つのは、国際系学部・学科である。
2000年初頭から始まった文系学部の“国際系ブーム”はいまだ収まらず、既に100学部・学科を超えているという。
来春、国立大学では初の国際教養学部の新設が予定されている大学があり、本格的米国流リベラルアーツ教育の導入が注目されている。「しかし、意外にも全体の志願者は減っています。それは、国際系を選ばなくても、SGU(スーパーグローバル大学)採択の大学に入りさえすれば、グローバル教育が受けられるというイメージが広がったことも理由にあるでしょう。国際系を志願する場合は、授業を全て英語で行っていたり、留学が義務付けられているなど、大学によってカリキュラムに大きな差があるので、その教育内容をよく調べておく必要があります」と安田常務は注意を促す。
就職支援が生徒への
アピールポイントに
アンケート結果の「大学側が受験生に受け入れられている改革やアピールの部分」では、昨年と変わらず、“キャリア教育など就職支援”が1位になっている(前ページ表2参照)。
安田常務は、「最近目立つのは、学生と教職員の距離がますます近くなっていることです。
特に小規模の大学などでは、きめの細かい就活(進路)指導を行い、積極的なインターンシップの促進や、企業を招いてのワークショップを開くなど、親身な指導が目立ち一定の成果を挙げているようです」と言う。
入り口である入試改革で特徴を出す動きもある。例えば16年度から「新フンボルト入試」という新型AO入試を導入する国立の大学がある。これは図書館や実験室を使用しながら、時間をかけた論文作成や実験が課される入試で、20年の大学入試改革をにらんだ先駆け的な入試とみられている。また大学レベルの英語力を判断する、アカデミックな英語能力判定試験である「TEAP」を、
入試科目として採用する大学も増えつつある。
「もう一つ、最近の傾向で注目したいのは、地元志向が高くなっていること。地方の大学でも、地方創生系の学部が誕生しており、今後こうした動きは加速していくと思われます。地方の優秀な人材を求めて、都会の企業が地方の採用を強化しているという動きもあります」と安田常務。時代の流れの中、大学の学部編成や特徴、入試の方法は年々変化し続けている。進路選択に当たっては、親たちの情報収集と見極めも肝要になる。