「隠れた優良企業」の生産性を見ていくと……
いわゆる「優良企業」の評価指標はさまざまあるが、アベノミクス第2ステージに入り、企業の生産性(従業員1名当たりの付加価値)が注目されている。確かに、売上高ランキング上位の大企業の生産性が高いかといえば、けっしてそうではない。そこで「従業員1人当たり売上高」を見てみると(*1)、各業界で生産性の高さを誇る中小企業が多いことが浮き彫りになる。
「2015年版中小企業白書」(中小企業庁)によると、国内の中小企業はおよそ385万を数え、全企業の99%を占めている。これら中小企業の堅実な経営が、日本が世界経済において重要な地位を占める上で原動力となっていることは間違いないようだ。
ところが、その存在は陰に隠れがちである。日本の中小企業には、独自の製品、サービスの付加価値を高めることによって、各業界におけるシェア上位、戦略的グローバル展開、高収益を誇るマーケット・リーダーであるにもかかわらず、一般的に知られていない企業が多い。中でも中堅企業(*2)は、グローバル経済の荒波を乗り越え今日まで持続的発展を遂げ、国内経済の活況化にも大いなる貢献をしている高収益企業が多い。
そこで、その真の実力と将来性の検証を行ったところ、過去の戦略的取り組み、将来へ向けた課題など、次のような傾向が読み取れた。
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〈1〉 日本経済全体が回復基調にあるといわれるが、中堅企業にそうした実感は必ずしも強いわけではなく、将来を楽観視しているわけではない
〈2〉 自社の競争力の源泉である商品・サービス、人材については多くの中堅企業が自信を持つと同時に最重要の課題であると認識している
〈3〉 多くの中堅企業は自社の成長ステージを「転換期」と認識している
〈4〉 多くの中堅企業は依然として国内市場に注力している
〈5〉 有能な人材の確保と育成が成長実現の大きな課題
〈6〉 多くの中堅企業は、事業継承という課題に直面している
〈7〉 柔軟な組織、イノベーションへの積極的投資とリスクテイクは、成功を収める中堅企業の条件
〈8〉 将来に対する取り組みは、既存の事業領域・既存顧客の重点強化派と新機軸推進派に分かれる
これらの課題はいずれも中堅企業に限ったものではない。したがって、各社の特徴、事業の独自性に根差した課題や取り組みをあぶり出すまで至っていない。そうした共通項を検証するにはどうすればいいだろう。
そこで、8点目に掲げた「既存の事業領域・既存顧客の重点強化派」と「新機軸推進派」の課題や取り組みに注目してみたい。これには、会社の成り立ちに由来する要因が影響しているようなのだ。
さらに中堅企業の戦略性を分析していくと、「財務責任者の役員会での発言力が増した」という興味深い傾向が読み取れる。
グローバル・エクセレント・カンパニーにおいて、事業戦略と財務戦略は表裏一体であり、トップマネジメントにおけるCFOの発言力は強い。現在、自社が「成長ステージにおける転換期」にあると認識する日本の中堅企業がめざすべき姿は、こうしたグローバル組織の「中規模版」なのかもしれない。
*1 D-VISIONデータベースサービス/ダイヤモンド社
*2 年間売上高約5億円以上200億円未満
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日本の中堅企業の現状認識と将来への課題は?
●依然として国内市場に注力
●有能な人材の確保と育成が成長実現の大きな課題
●事業継承という課題に直面
●競争力の源泉である商品・サービス、柔軟な人材と組織、イノベーションへの積極的投資とリスクテイクが成功の条件
●将来に対する取り組みは、既存の事業領域・既存顧客の重点強化派と新機軸推進派に分かれる など
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