国内最古の企業信用調査会社として120年以上の長きにわたって発展を続けてきた東京商工リサーチ。海外企業を含め2億5000万件を超える企業情報にワンストップでアクセスできる同社のデータベースは、グローバル化が進む昨今、その社会的重要性が一層高まっている。

──御社の創業は明治25年ですから、近代日本産業の黎明期に産声を上げたわけですね。

河原 創業当時は「商工社」という社名で、日本最初の企業年鑑の発行などを行っていましたが、産業の発展に伴って企業の信用情報のニーズが高まり、当社の提供する企業情報が非常に重宝されるようになりました。

 企業間商取引を円滑に行う上で、信用情報は欠かせません。その情報を深く、正確に、そして幅広く提供してきたからこそ、当社は1世紀を優に超える歴史を刻むことができたのです。また、それこそが当社の社会的使命でもあると思っています。

優良潜在顧客リストで
契約件数が大幅アップ

東京商工リサーチ 代表取締役社長
河原光雄(かわはら・みつお)

1976年近畿大学商経学部卒業、東京商工リサーチ入社。調査員として関西支社勤務、企業の信用調査・情報収集および営業活動に従事。九州地区本部長、中国地区本部長を経て、2002年取締役中・四国地区本部長に就任。2004年常務、2007年専務を経て、2015年6月社長に就任。奈良県出身

河原 時代とともにコンピュータ化が進み、データベース構築とネットワーク経由での情報提供が当たり前になりましたが、そうした流れにいち早く対応したことも当社が大きく発展できた要因だと思います。 

──与信管理向けの企業情報サービスの他にも、事業領域が広がっていますね。

河原 当社では全国80拠点の調査員が企業を直接取材し、沿革から取引先、資金状況、財務内容、経営者のプロフィルまで200を超える項目をヒアリングして、調査レポートを作成しています。その情報はデータベースとして日々蓄積、更新されています。

 当社のデータベースには国内全企業の9割を超える約300万社の情報が蓄積されていますが、そうした情報資産と長い歴史の中で築き上げてきた信頼を基に、与信管理支援だけでなく、営業・マーケティング支援、調達先管理支援、マスターデータ管理など企業活動をより幅広くサポートしています。

 例えば、営業・マーケティング支援では、企業情報プロファイリングという統計的手法を使って、有望な潜在顧客のリストを提供しています。まず、既存顧客の中でも取引が伸びている優良顧客を選び、企業データや業種、売り上げ規模などの属性を分析、優良顧客の特徴を可視化したモデルを作ります。そのモデルに近い企業を当社のデータベースから抽出、新規契約の可能性が高い順にスコアを付け、リストを作成するのです。

 このスコア付きリストを導入したある生命保険会社では、4年連続で10%以上の増収を達成、契約件数を3倍に増やすことができました。

 2015年10月には、日本オラクルのマーケティングオートメーションシステムと連携した企業情報サービスの提供も始めました。これは、お客さまが保有する顧客情報に当社の企業属性情報を付与することで、より精緻な企業情報プロファイリングやターゲティング分析が可能となるもので、大変好評を頂いています。