長年の経験と最新技術の導入で9割以上の復旧率を実現

 デジタルデータソリューションの圧倒的なシェアを支えているのは、どんなに復旧困難なデータでも、「あの会社に頼めば何とかしてもらえそうだ」と思える頼もしさである。事実、同社のデータ復旧率は96.2%と驚異的なレベルだ。

 しかも「一般にデータ復旧の難易度はSからA~Eまでの6段階に分かれますが、同業他社ではせいぜい中位に当たるC程度までの復旧しかできません。当社は、より難易度の高いBから上のレベルの復旧が依頼全体の4割近くを占め、最も難しいSレベルも含めて9割以上のデータ復旧率を実現しているのです」と熊谷氏は技術力の高さを自負する。

 では、高い技術力はどうやって手に身に着けたのか?

 それは「長年に及ぶデータ復旧の経験と独自技術の開発、海外からつねに最新技術を導入し、更に大学や様々な分野に特化した専門機関と共に技術開発をし続けてきた努力の賜物」だと熊谷氏は言う。同社がデータ復旧事業をスタートしたのは2004年。以来11年余りでの相談件数は累計11万6289件(2016年1月現在)にも上る。その膨大な経験によって、あらゆる角度から復旧の糸口を探り、データをよみがえらせる力に磨きをかけたのだ。

東京本社にはデータ復旧作業を行なうためのクリーンルームを設置。今後国内外ともにラボの増設を行い、サービス利便性の拡大をはかる予定だ。

 また、「HDD自体の構造はそう大きく変わらなくても、それを動かすファームウェアは年々進化を遂げ、データ復旧作業はどんどん難しくなっています。当社は事業の立ち上げ当初から、つねに米国、ロシア、中国など世界中の最新技術を積極的に導入し、データ復旧の新たな壁に挑み続けてきました。新たに技術的な壁が立ちはだかれば、すぐにそれを乗り越える技術を手に入れることで、9割以上の復旧率を実現してきたのです」と熊谷氏は語る。

 同業他社の場合、復旧を妨げている大きな要因がファームウェアであることすら認識できないことが多く、たとえ認識できたとしても、高度化した最新のファームウェアを解析してデータをよみがえらせることはほとんど不可能だという。先ほどの大手ICT企業のように、自社でやっても、ほかの業者に頼んでもデータ復旧できなかった記憶装置や媒体が持ち込まれることも多いそうだ。まさにデータ復旧の“駆け込み寺”である。

 デジタルデータソリューションは、東京本社にクリーンルームを備えたデータ復旧のためのラボを設置。全国から持ち込みや郵送などで1日に50件前後の記憶装置や媒体が届くという。