自ら学び続ける力を育む
「進研ゼミプラス」の開発

──進研ゼミは、創業以来最大のリニューアルを実施しました。この狙いは?

原田 4月から登場する「進研ゼミプラス」は、iPadを活用することで子どもたちに対する個人別対応が飛躍的に進化します。子どもたちの個性や能力は一人ひとり違います。「進研ゼミプラス」では、子どもの学習履歴を分析しながら、適切なタイミングで必要なレベルの教材を提供。「赤ペンコーチ」をはじめとする「人」が、働きかけ、学習に関するアドバイスをします。教材学習においても、自ら考え、自ら学ぶ時間を与え、より主体的な学習ができるように導きます。自ら学び続ける力を養うことにより、受験勉強や試験勉強で主体的に学習する資質も高まる。そしてこの力は、社会人になった後の長い人生で、大いに役立つものになると考えています。

「進研ゼミプラス」は決してデジタル商品ではありません。デジタルは手段にすぎず、子どもたちを見守り支援するのは、心を持った「人」であり、ここに大きな価値があります。

全国の塾と提携
プラットフォームを提供

──さらに「教室事業コンソーシアム」の試みも。これはどのようなものですか?

原田 日本各地の大手塾と提携し、進研ゼミと個別指導のノウハウを融合した「クラスベネッセ」のフランチャイズ化を推進します。

 今年4月より「進研ゼミプラス」を教材として「クラスベネッセ」で活用。これまでにない「家庭と塾をシームレスにつなぐ」教育サービスが実現します。

 さらに、「先進的校外教育モデルの実現」に向けて、各社と「教室事業コンソーシアム」を立ち上げました。

 弊社も塾も、これまで一社完結型のビジネスを推進してきましたが、もし両者がコラボレーションできたら、教材開発などの重複投資を抑えることも可能。教育事業に「エコシステム」を導入することも考えています。これは33年間、IT業界にいた私だからこその発想ではないかと思います。お子さんの行動履歴(ビッグデータ)を統合し、業界で共有することが教育価値につながることも期待しています。

 ベネッセのテーマは、一人ひとりに寄り添い、人生の学びと成長を支援すること。

 中期経営計画は、目の前にある課題を解決するレベルであり、その次のステージでは、ベネッセが自己完結型のビジネスから脱却し、新たなブレイクスルーを実現することが必要です。そして私たちのビジネスは、お客さまの一生を左右します。「進研ゼミやあの塾で私は学んだ」「あの介護施設で家族が助けられた」という体験で、一生感謝されるような社会的責任のある仕事を私たちは担っていることを忘れてはならないと考えています。

自ら学び続ける力を育む
「進研ゼミプラス」を今春開講

 ベネッセコーポレーションは、2016年4月より、小学校1年生から高校3年生までを対象にした新たな通信講座「進研ゼミプラス」を開講する。講座は、テキストを中心とした「オリジナルスタイル」と、テキストとiPadを活用する「ハイブリッドスタイル」の2スタイルから選択可能。年度の途中でスタイルを切り替えることもできる。
 最大の特徴は、「個人別の学習システム」と「充実の指導とサポート」。365日見守り続け、一人ひとりに必要な手を差し伸べながら、学力を向上させるだけでなく、自ら学び続ける力を育んでいく講座となっている。
※講座内容は学年によって異なる。
※iPadは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標。