決定の「先送り」が
事態解決を遠ざける

(出所)平成25年度マンション総合調査(国土交通省)
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「うちのマンションは、そこまで古くない」「それほどひどくない」と思うかもしれない。しかし、全てのマンションで、建物と住民の“ダブル老化”が刻々と進んでいることは、忘れないでほしい。

 国土交通省のマンション総合調査によると、2013年度時点で、すでにマンション住民の約半数が60歳以上になっている。マンションを「終の棲家」だと考える人も増えてきた。

 住民が高齢化していくと何が起きるかというと、それぞれ年金生活に入り現役時代より収入が減るとともに、体力が衰えて、面倒なことを避ける傾向が強まる。

 お年寄り世帯が多いマンション管理組合では、再生が検討議題に上がるたびに、「余分なお金はない」「面倒なことはしなくてよい」「このままで十分だ」という声が上がりやすい。

 中には「私が死んでからにしてほしい」と、究極の決定先送りを宣言する人もいる。しかし問題は、マンションは「共有の財産」であって、その人だけの住まいではないということだ。

 住民合意の上で進めねばならない大きな改修、建替えの検討、そのための事前準備など、重要な決断になるほど、管理組合における「高齢者票」が動かないことで、決定先送りが増える傾向にある。

 先送りをしている間にも、建物の劣化は進む。劣化した建物は当然、資産価値を失っていく。

hyoushi

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