後藤仁哉 弁護士
中央大学法学部卒業。1986年弁護士登録。御巣鷹山での日航機墜落事故では刑事弁護団の一員を務める。旧・新司法試験考査委員、最高裁判所司法研修所の刑事弁護教官等を歴任。現在、東洋大学法科大学院専任教授、中央大学法科大学院客員教授、家裁調停員

 東京・神田お茶の水の後藤綜合法律事務所は、「ていねいさ」をモットーに、離婚、遺産分割等の家事、少年事件をはじめとする刑事、会社を巡る訴訟や労働問題といった民事全般に広く対応している。その「ていねいさ」が解決に導いた事案を紹介しよう。

――子のない男性が亡くなった。唯一の身内だった母親も直前に急死しており、数千万円の男性の遺産を相続する人がいなくなった。何も手を打たなければ、遺産は国庫に入るが、男性の遠縁に当たる人物から依頼が舞い込んだ。「自分の死後、遺産はすべてあなたにあげる」と故人の男性から言われていた(遺言書は未作成)という。

同事務所の精鋭スタッフ。写真の左から、行政書士有資格者の内山瑠美氏、後藤弁護士、佐々木勝洋弁護士、盛岡和久弁護士兼司法書士

 現在の法律では、遺言がない限り、遠縁の者への相続は認められない。ただし、故人と精神的な繋がりなどの特別な縁故があった場合は、故人と生計を同じくしておらず、療養介護に努めていなくても「特別縁故者」として財産の分与を申立てることができる。依頼人はそれに当たる、と考えた後藤弁護士、佐々木勝洋弁護士(写真右から2番目)は、想像力を膨らませたていねいな聴き取りと取材を実施。結果、故人が依頼人に財産を与える旨を生前に語っていたのを、第三者が聞いていたことや、故人と依頼人が幼少期から深いつながりにあったことを各種のメモから発見。万全の準備で家裁に臨んだが――。

「家裁の判事が厳しく、主張が認められませんでした。判例調査等から自信はあったので、3名の判事で審理してもらえる高裁に即時抗告。私どもの主張が認められ、差し戻しになりました」

 また、後藤弁護士は「各種専門家との連携が不可欠」と言う。同事務所は、税理士や建築士、医師など、多くの専門家とのネットワークを構築。同事務所に相談すれば、遺言書作成から遺産分割後の協議書、相続税の申告、登記手続まで、相続にかかわる全ての過程をサポートする「相続問題ワンストップサービス」を提供している。

 また、医療過誤事件や高齢者・障害者福祉施設での死亡事故、自衛官のいじめ問題といった難度が高いトラブルも積極的に引き受けている。依頼者の話にひたすら耳を傾ける「ていねいさ」と、各分野のエキスパートとの連携で、どんな難題も解決する意気込みで臨む。

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