社会・経済環境の変化に伴い、企業が求める新卒人材像も変化しているように見受けられる。これに対して、「基本は変わらない」と語るのは、キャリアマートの武並博司代表取締役だ。企業が社員教育にコストをかけにくくなり、即戦力が求められるものの、時代の変化に対応する基本的な力が備わっていることが重視されるというのだ。新卒人材のミスマッチの原因などとともに、就職において大学が果たす役割と就職力を視野に入れた大学の選び方について聞いた。
近年の学生の就職状況について、キャリアマート・武並博司代表取締役は「就職氷河期と人材のミスマッチが、まるで景気循環と連動するように、交互に問題化しています」と指摘する。というのも、就職の時期がいわゆる氷河期に当たった学生は、思うような就職活動ができず、希望とは異なる仕事に就くケースが増える。「こうした人材は、2~3年たって景気が回復すると、転職市場に流れる。人材の流動化が進んできています」と武並氏は指摘する。
武並博司 代表取締役
とはいえ、リーマンショックを経た2009年、10年卒業の学生については、「入りたくない会社にすら入れない、非常に厳しい状況でした」と、武並氏は振り返る。10年の大学卒業者のうち約12万人が就職できなかったと政府から発表されているが、「就職できないことから、留年や留学、専門学校への進学などを選んだ人を含めると、就職できなかった学生数は政府発表の倍程度ではないかというのが正直な実感です」(武並氏)。そうしたなかで、就職率が大学選びの基準の一つとしてクローズアップされている。
キャリアへの考え方や
ビジネススキルを習得
大学側でも、新たなカリキュラムを採用するなど、卒業後の進路を見据えた取り組みが活発だ。たとえば、全学生に対し、入学後の早い段階から社会の仕組みや働くことについて自ら考える授業を必修化したり、グループワークを通じてコミュニケーションの能力を高める授業などが実施されている。