マンションの機能性を
戸建てにプラス

 マンションの便利な機能を戸建てに取り入れる動きも加速している。例えば、留守中に届いた宅配便を預かる宅配ロッカーを参考に、郵便受けを大型化した建売住宅もあるという。

「単純なことですが、結構厚みのある荷物も受け取れて便利だと好評です。戸建て用のディスポーザーも登場しました。生ごみを粉砕し、流しの下のタンクにためて堆肥化する方式で、庭木の手入れに利用できると、人気を呼んでいます」

人工大理石や壁紙など
素材関係は著しく進化

 素材関係は進化し尽くした感があると櫻井氏。それでも近年目を見張るのが、キッチンや洗面台に用いられる人工大理石の進化だという。

「かつてはいかにもプラスチックでしたが、今は石を粉砕して樹脂と混ぜ、再結晶化させて作っています。適度に粘り気があるので自然石より欠けにくく、加工がしやすいので2メートル以上の板も1枚で作れ、つなぎ目がないので汚れにくい。使い勝手が格段に良くなっています」

 床材は、表面を樹脂加工した「シート張り」が広がっている。見た目はまったく木と変わらないが、傷や汚れが付きにくく手入れが簡単。その上、腐らないので長持ちするという。

 壁紙は、臭いを吸着する壁紙、汚れを落としやすい壁紙、珪藻土系の呼吸する壁紙など、機能性壁紙が豊富に登場。用途に応じて選択するスタイルが、すでに一般的になっている。

 いかがだろう。厳しい風土や時代に合った暮らしに応じて、ダイナミックかつ緻密に進化してきた日本の住宅。その歩みはまだまだ止まりそうにない。