一目で「ここだ!」と
気に入った古家

2階の自宅部分。センターの焦げ茶色の柱や天井の梁の左部分は昔の家のもの。右端の白っぽい柱は強度を高めるため、新しく継ぎ足したもの

 近藤さんは金融機関で長く働いていたが、ゆくゆくは起業したいと考えていた。

 飲食関係とカルチャーに興味があったこと、情報発信ができるようなスペースをつくりたかったことなどから、カフェ経営が浮上。焙煎したての豆をひき、お客さんの目の前でドリップして入れる、いわゆる「サードウエーブコーヒー」の波が日本に上陸してブームになったことも背中を押し、自宅を兼ねた形でカフェを開業しようと思い立った。今から2年近く前となる、14年夏のことだ。

 新築にこだわりはなく、レコードや古着などの時間を経たものが醸し出す雰囲気が好きだったので、中古物件を探して自分好みにリノベーションをすることにした。

 人気リノベーション会社が主催するセミナーを探し、受講。知識を身に付けた上で物件探しを依頼したのだが、その会社は「店舗併用住宅」のリノベーションにはあまり乗り気ではなかった。

 そこで次なるリノベーション会社探しを続け、大手の一社、リビタに出会う。たまたま担当の大嶋亮さん(リノサポ第1グループリーダー)が大のコーヒー好きという幸運も重なった。

天井の梁をむき出しに見せた。この建築手法は"現し(あらわし)"という。写真奥の窓の外には隣のマンションの樹木(借景)。左側には自宅用キッチンがしつらえてある

 大嶋さんはカフェ経営に向く街探しから始め、希望金額8000万円までの範囲内で幾つかの物件を提案。15年1月にはこの経堂の物件にたどり着いた。

 敷地面積46坪(約152平方メートル)、建物面積30坪(約100平方メートル)は店舗併用を可能にする広さ。付近には競合となる店も少ない。また、近くには東京農業大学があり、古くからの住民だけではなく若い人も多い街だ。

 驚くべきはその価格で、駅至近の好立地にありながら5000万円台。15年度の東京都区部におけるマンションの平均価格は6842万円(注)だから、これと比べるといかに格安かが分かるだろう。

 内見に来て一目で「ここだ!」と思った近藤さんは即決した。

 注) 不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向(2015年度)」より

 

magazine

この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2016年8月21日号『中古マンション・戸建て はじめての中古住宅』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。

新築マンション、戸建て関連の最新情報をお届けしている特設サイト『はじめての中古住宅 Online』もあわせてご覧ください。
資料を無料でご請求いただけます。