コストを抑えながら
居心地よい空間づくり

 内装プランは、物件の特徴でもある店舗部分をどうするかからスタートした。もともと「普通の玄関や間取りはつまらない」と思っていたこともあり、設計担当者の「土間にしてみては?」という提案を即採用したという。

 「甥っ子や姪っ子など親戚や近所の人が集まりやすく、お茶を飲んだり何かの作業をしたりするフレキシブルな空間にしたいと思いました。私はフリーランスなので家での作業も多いのですが、暑い夏は涼しい土間で快適に仕事をしています」(Fさん)

 土間は、腐食した床を撤去してコンクリートにしたことで、天井高を確保した上にコストを抑えた。ほかにもリビングの床は構造用合板仕上げ、造り付け家具は無塗装かつ端部処理なしの木材を利用するなど、コストダウンの工夫が随所に見られる。

趣味で集めているレトロな家電や小物は土間のインテリアに。青や緑の色ガラス瓶は昔の医療用具が中心。懐かしい小物入れやおもちゃ類はほとんどネットで購入した

 「いろいろ盛り込みたい思いはあったのですが、『天窓とかいいですよね』などとつぶやくたびに、設計の倉田さんに『プラス100万です!』と突っ込まれ、思いとどまりました(笑)。それでも最終的には予算をかなりオーバーしてしまいましたね」(Fさん)

 コストダウンのため、階段や柱など古き良き時代の味わいが感じられるものは極力残した。すると引越しの際、子どもたちから「工事中みたいだけれど完成はいつなの?」と言われたというが、結果的には趣味で集めたレトロな家電や雑貨類とマッチした、居心地の良い懐かしい空間が出来上がった。

 1階を人が集まるオープンスペースにした分、2階は〝個〟を意識した。もともとあった2部屋に、夫と妻、長男と長女それぞれの空間を確保するため、目線を遮る間仕切り家具を置き、緩やかに4つに区切った。

 古い木造住宅なので、壁や床に断熱材を入れても、1年中快適とはいかないが、気持ち的には十分快適だという。

 「リノベに関して、妻はキッチン以外はノータッチ。ここまで私の好きなようにしておいて、快適じゃないとは言えません。家族からは私の『コレクション倉庫に住んでいるみたい』と言われています」

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