フィリップ モリス ジャパン株式会社
健康への影響により注視を浴びるたばこ産業。
だがそうした状況下で、社会からの要請にも対応を果たしながら業績を伸ばしているのがフィリップ モリス ジャパンだ。
独自の発想で人材育成に取り組む同社は、トップランナーの育成に、いかなる姿勢で臨んでいるのだろうか。
採用の「扉」をいつでもオープンにしているPMJ
たばこという製品について、積極的に情報開示を進め、自治体や政府による規制政策にも関与するフィリップ モリス ジャパン(以下、PMJ)。コンプライアンスやCSRに関わる体制もさらに強化し、社会からの期待に的確に応えようとしている。一方で、事業では実績の伸長に成功。世界的ビッグマーケットである日本で、シェア第2位(24.3%※)となっている。

かとう・はるき◎大学卒業後、日系消費財メーカーへ。国内外市場の営業・マーケティング部門で活躍。在職中にMBA を取得した。その後、フィリップ モリス ジャパンに移り、営業部門で実績を上げた後、2008 年より現職。既成の人事の枠にとらわれないプロアクティブな人事戦略を実行している。
そんななか、中途採用領域で注目を集めているのが、同社の人材採用・育成戦略と、その独特の姿勢だ。世界不況の影響がいまだ色濃い日本の転職市場で、「部門や役割は限定しない。常に良い人材がいれば採用する」という攻めの姿勢を続行しているのである。
「当社が個人と組織の強化を目指すうえでの基本思想。それは大きく分けて5つあります」
個の成長を決定づけるのは
「人間関係の質」
PMJの人事戦略のリーダーである加藤治樹氏はこう説明する。
「まず最大のポイントは、人間関係の質です。個の成長については最後の3つのポイントで説明しますが、何より私たちが重視しているのは、個と個が高度な質でつながること。それによって組織を強くすることです。とりわけ日本でチームプレイを高度化しようと思えば、『どこまで個々が強固につながるか』が重要になるからです」
いうまでもなくPMJは、グローバルグループであるフィリップ モリス インターネショナルの一員だ。しかし「人間関係がドライで競争のみが重視され、ヒトの出入りが激しい」という「ステレオタイプの外資系」とは一線を画すのだという。
「1人ひとりが長く働くことを前提にしています。そのためには良質の仕事と、良質の人間関係が不可欠。ですから、社内サークルの活動も活発ですし、餅つき大会や花火大会など、仕事以外でのつながりも非常に盛んです。『楽しいだけでは成果につながらない』のは当然。けれども楽しさが仕事の内外になければ、個やチームの力を最大限に引き出すことなど不可能なのです」