空き家や空き住戸の
有効活用法はいろいろある

ビルや住宅がひしめく都心。空き家や空き住戸も数多い

 一方で日本には820万戸もの空き家がある。総世帯数5245万世帯に対し総住宅数が6063万戸もあり、その差が空き家となっている。これは明らかに国の住宅政策の失敗によるものだ。

 1968年当時、総世帯数は2532万世帯で、総住宅数は2559万戸※6だった。私は、このときがベンチマークだったと思う。この時点で、新築住宅の供給数を制限し、既存住宅の有効利用に舵を切るなど、明確な住宅政策をとるべきだった。

 これをなさずにきたことを、つまり失政であることを国は認めて、一刻も早く住宅の健全な需給コントロールと住宅価格の適正化に着手すべきだろう。

 都内には賃貸住宅の空き住戸が65万戸もある。自治体が買い取りあるいは借り受けて、減築して耐震強化し、高齢者用の介護マンションや、待機児童のための託児所に転用する方法もある。海外からの観光客増加に向けて、民泊に利用してもいい。いろんな活用方法があるはずだ。

 既存のものに手を入れながら長く住む。そうした住宅の価値観の変化が浸透すれば、高額な住宅ローンに一生を縛られることもなくなるだろう。今こそ住宅市場の構造改革をなすべきときだ。そのためには、政府は当然だが、何より私たち自身の住宅に対する意識改革が必要だ。

※6 総務省統計局「平成25年度住宅・土地統計調査結果」

 

■オウチーノのホームページはこちら

 

magazine

この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2016年9月30日号『新築 マンション・戸建て はじめての新築住宅購入法』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。

新築マンション、戸建て関連の最新情報をお届けしている特設サイト『はじめての新築住宅購入法 Online』もあわせてご覧ください。

資料を無料でご請求いただけます。こちらから。