孤独の深刻化が危惧されている。日本では、生涯未婚率が男性23.4%、女性14.1%と過去最高を記録し(内閣府)、単独世帯は2040年に40%に達すると予測され(総務省)、少なくとも物理的な「孤独」は確実に進行している。また昨今の女性や若年層の自殺増加についても、コロナ禍における孤独感の影響が指摘されている。こうした「孤立・孤独」の問題は、日本のみならず世界中に広がっている。それも、個人が抱える感情問題にとどまらない。政治・経済の構造や企業の対応、人々のライフスタイル・考え方の変化などが、複雑に絡みあっている。また人々の孤立・孤独は健康を脅かし、さらに社会や経済をも不安定化させる。そうした「孤独危機」の構造と、改善に向けた処方箋をまとめた新刊『THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか』の著者ノリーナ・ハーツ(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授)は、「世界のリーディング・シンカーの一人」(オブザーバー紙)と称される。今回の新刊をまとめた背景を聞いた。
続きを読む