幕府公認の遊郭がある吉原は性の歓楽街のみならず、江戸のトレンド発信地であり、なかでも最上級の遊女・花魁はスターであった。2025年1月放送開始のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で、その生涯が描かれる蔦屋重三郎が生まれ育ったのも吉原だった。通称・蔦重と呼ばれる彼は、慣れ親しんだ土地で出版業を旗揚げし、稀代のメディア王にのし上がる。ノンフィクションの名手、増田晶文氏が蔦重の原点をたどる。※本稿は、増田晶文『蔦屋重三郎 江戸の反骨メディア王』(新潮選書)の一部を抜粋・編集したものです。
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