デジタルサイネージとは、時間によって異なる広告や情報の提供が可能な、訴求力と視認性に優れた広告メディアである。今年10月7日、JR名古屋駅中央コンコースに、交通広告では日本最大級の連続・多面型駅デジタルサイネージが登場した。大きく変貌する名古屋駅の象徴として、東京オリンピックに向けた新広告メディアとして、今、注目を集めている

 今、JR名古屋駅の新幹線改札口を出て、中央コンコースに足を踏み入れると、ある光景が目に飛び込んでくる。太閤通口から桜通口に向かう全長約175mのコンコースの両側に並ぶ柱が、鮮やかな色彩で発光しているのだ。光っているのは、目線と同じ高さにある60インチ液晶モニター。片側で25面、合計で100面あるモニターに映し出されるコンテンツは、すべてが連動し、同じメッセージを発信している。まるで、歌舞伎の“のぼり旗”がずらりと並んでいるような華やかさがある。これが日本最大級といわれるデジタルサイネージ。いわゆる“交通広告”としては異色の、次世代型の広告メディアである。

広々とした直線の中央コンコース。通勤・通学や購買など、生活動線における交通広告効果の最大化がはかられる。約175m25面による“連続接触”は、強い注目率とインパクトをもたらす

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2000年を境に
大変貌を遂げた名古屋駅前

ジェイアール東海エージェンシー
川合 勲
交通広告部 販売・SPメディアチーム サブリーダー

 気が付くと今、名古屋駅周辺が熱くなっている。もとより東海地区のメインターミナルであり、乗降人員平均約38・7万人/日(2012年度)を数える巨大駅である。だが十数年前まで、名古屋駅は単に“新幹線がとまる駅”程度の存在感しかなかった。

 「大きく変わりはじめたのは、2000年にJRセントラルタワーズ(ジェイアール名古屋タカシマヤ、名古屋マリオットアソシアホテル)が開業してからです。まさに“黒船”のような衝撃で、05年の愛知万博で観光客のグローバル化が急速に進み、06年から08年にかけては、世界の有名ブランド店が入るミッドランドスクエアなど3棟の超高層ビルが誕生。すでに地元では、名駅と従来の繁華街である栄との勢力図が逆転したと言われています」と説明するのは、デジタルサイネージの仕掛人であり、ジェイアール東海エージェンシーの交通広告部、販売・SPメディアチームの川合勲サブリーダーだ。

 こうした環境の激変に伴って、名古屋駅の交通広告も変わり始めた。特に愛知万博以降、ナショナルスポンサーからの出稿が増え、広告が一気にグローバル化したのだ。そこで必要になったのが、交通広告を効果的に展開できる場所とシステムだった。