「マスター オブ コンプリケーション」とうたわれるフランク ミュラー。その本質は、高度な時計技術と審美性を追求した芸術作品のような時計創作にある。

飽くなき美の探求が
最高峰の逸品を生む

 創設からまだ20年余りという若いブランドながら、時計製作の実力においては、伝統と歴史を誇る老舗の高級時計メーカーと肩を並べ、複雑機構やデザインの独創性においては、それらを凌駕する存在といえるのが、スイスのフランク ミュラーだ。

 そのフランク ミュラーが高級時計の分野で成し遂げた「革新」には、二つの側面がある。一つは、伝統的な機械式時計の複雑機構に独自の解釈を施して、世界初の記録を樹立するユニークな複雑時計を次々と誕生させたこと。もう一つは、3次元曲線に包まれた「トノウ カーベックス」に代表されるように、デザインに大胆な美学を導入して、時計の造形美を極めたことだ。これら二つの革新が表裏一体を成し、芸術作品とも呼べる時計を創作するのが、フランク ミュラーの神髄といえる。ここに取り上げた二つも、そうしたフランク ミュラーの魅力を存分に堪能させるぜいたくな時計である。

 まず、機械式ムーブメントの全貌をあらわにするスケルトン技法を採用した「セブンデイズ パワーリザーブ スケルトン」だ。スケルトンの場合、通常の文字盤がなく、フェイスのデザインを形作るのはムーブメントそれ自体。その構造や部品を隅々まで見渡せるので、個々の部品の配置から仕上げに至るまで、全ての点で美観と機能との完璧な融合が不可欠になり、高度な技術をもってして始めて実現できるものなのだ。