40代から50代のビジネスパーソンの新幹線体験に多いのは、1970年に開催された大阪万博とセットになった記憶だろう。期間中の総入場者数は6400万人を超え、民族大移動ともいわれた一大イベントを支えたインフラが、1964年に開通していた東海道新幹線だった。

 東海や関東から大阪を目指した人の多くは、夢の超特急と呼ばれた東海道新幹線に興奮し、「車窓から初めて富士山を見た」と言う人も大勢いる。明治期の人が追いかけた「坂の上の雲」は、あの時代の日本にも確かにあり、時速200キロメートルを超える超特急は、多くの日本人の夢を乗せて疾走していた。

絶えず進化を続けるJR東海の予約システム

 開業時、あまりの人気に窓口では長蛇の列が見られたが、大阪万博の頃には解消されていた。その背景にあるのは、日本の鉄道が世界に誇る、ICTの先駆けともいえる座席予約システム。それは現在に至るまで進化を続け、東海道新幹線の予約システムを支えている。

 現在、会員数が230万人を超える会員制ネット予約&IC乗車サービス「エクスプレス予約」「プラスEX」。

 きっぷうりばを訪れなくても、パソコンはもちろん手元のスマートフォンやケータイを使って、どこからでも予約でき、さらに座席の指定までも可能。予約変更もモバイル端末からでき、ネット予約サービスなら手軽にお得に利用できる。

 きっぷも変わった。硬券の時代ははるか昔で、今はきっぷなしでIC乗車サービスを利用する割合が増加している。東海道新幹線は、車両はもちろん、こうしたサービスも革新しながら、21世紀も日本の大動脈として走り続けているのだ。

 現在、東海道新幹線の1日の利用者は約41万人。3月15日のダイヤ改正から、下り・上りともほぼすべての時間帯で、1時間に最大10本の「のぞみ」を運転。日本経済を支える重要インフラとして、ますます充実してきている。

 多くのビジネスパーソンにとってありがたいのは、N700系やN700Aなら、最前部、最後部だけでなく、普通車でも窓側席にモバイルコンセントが備えられているところだ。

 しかもこのN700系とN700Aは東京~新大阪間で公衆無線LANによるインターネット接続サービスも利用できるため、目的地までの乗車時間、バッテリー切れを心配せず、オフィスにいるような感覚で作業ができる。ビジネスパーソンの場合、東海道新幹線の利用は出張が多いが、移動時間を効率よく使い、ビジネスの成果につなげる環境が整っているのだ。