ロボットやAIは着実にビジネスの現場に浸透しつつある。代表的な存在が、ソフトバンクの「Pepper」である。法人向けに展開している「Pepper for Biz」でも実践例が続々と生まれている。店舗での集客、売上増といった効果に加え、顧客属性の可視化などマーケティング面での効果も生まれている。多くの企業がPepperを導入した理由や効果などについて、全国の先進事例を見ながら紹介する。

ロボットが人手不足を補い
新たなサービスを創出する

 政府の労働力調査によると、日本における完全失業率は2014年以来3%台という低水準で推移している。人材が欲しくても、なかなか採用できない。いま、多くの企業が人手不足を実感している。

 そこで注目を集めているのがロボットやAIだ。単に人手不足を補うだけでなく、新しいサービスを生み出すための活用も始まっている。ロボットやAIは未来の風景ではなく、すでにさまざまなビジネス現場に投入され成果を上げている。代表的な存在が、ソフトバンクの「Pepper」である。以下では、同社の法人向けサービス「Pepper for Biz」の実践例を紹介したい。

 まず、リクルート住まいカンパニーの事例である。不動産・住宅サイト「SUUMO(スーモ)」を運営する同社は、「スーモカウンター」と呼ばれるリアル店舗も展開しており、そこでのPepper導入を進めている。導入目的は店頭での集客で、実際に来店客は数倍になったという。

 ショッピングモールでコンシェルジュとして採用されたケースもある。「イオンモール幕張新都心」には5台のPepperが置かれ、顧客との新たな接点を創出している。ヤマダ電機の店舗では、Pepperは訪日客に対する英語/中国語でのフロア案内などを担当。これにより、顧客満足度や店内回遊率の向上などの効果が生れているという。

ソフトバンクショップで顧客対応を行うPepper。集客に加えて販売増にも貢献している。

 全国約2000店舗のソフトバンクショップでも活躍中だ。Pepperは顧客の呼び込みやヒアリングなどを行っており、集客は1.5倍に増加。また、販売増にも貢献している。Pepperによる集客効果について、ソフトバンクの弓掛正史氏はこう説明する。

「やはり目を引くようで、店頭で足を止めるお客さまが多いですね。特に子どもたちの間で人気が高く、親子連れの来店を促すケースが目立ちます。また、Pepperとの楽しいコミュニケーションも大きなポイントです。人の感情を認識するAIなどを搭載した多様な接客アプリケーションが用意されており、それらは進化し続けています」