難関大学は、今も一般選抜が中心

 国立大学や、早慶、MARCH、成成明学獨國武などの難関大学の多くでは、今も一般選抜による入学者が過半数を占めている。旺文社『2026年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK』によると、一般選抜率は成蹊大学61.0%、法政大学62.6%、青山学院大学62.8%、慶應義塾大学56.6%、早稲田大学58.7%。

 これらの難関私大では、推薦・総合型選抜の枠の多くを系列校からの内部推薦や指定校推薦が占めている。そのため、公募制の年内入試、つまり指定校以外の高校からも受験できる学校推薦型選抜や総合型選抜で合格するのは、そう簡単ではない。

 こうした難関大学に進学したいなら、主戦場は今も一般選抜だ。この傾向はしばらく変わらないと考えられ、難易度の高いペーパー試験で得点できるよう、学力を高めていく必要がある。

中堅大学では「年内入試」が主戦場に

専修大学10号館(神田キャンパス)出典:PIXTA

 一方、日東駒専や女子大などをはじめとする中堅大学では、一般選抜以外の方式で入学する学生が半数を超える大学も多い。旺文社『2026年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK』によると、東洋大学54.3%、日本大学55.9%、東海大学66.7%、帝京大学71.8%が一般選抜以外の方式で入学している。

 「第一志望が日東駒専という学生に関しては、年内で合格を一つ決めるように指導しています」

 そう話すのは、城南コベッツを運営する城南進学研究社の教育事業本部長・村上潤さんだ。

 大学受験は二極化している。難関大学の一般選抜では高い学力が求められる一方、中堅大学の入試は大きく変化している。

 桜美林大学のように知名度や人気のある大学でも、すでに8割方が年内で合格を決めるところも出てきた。知名度のある女子大も指定校推薦の枠を広げ、一般選抜の割合は少なくなってきている。そのため、「青山学院に受かったのに女子大は不合格だった」という話も増えている。

 こうした事情から、中堅大学の入試では、勝負の中心が「年明けの一般選抜」から「年内の学校推薦型選抜・総合型選抜」へ移りつつある。

関東でも広がる「年内学力入試」

 その中で、昨今注目されているのが「年内学力入試」である。

 もともとは関西で以前から行われてきた入試で、年内に実施される推薦・総合型選抜のうち、英語や国語、数学などの学科試験の得点を重視する「学力入試」だ。2024年度入試からは関東でも年内学力入試が始まり、東洋大学が先陣を切った。

 「もともと、私立大学の一般選抜でセンター試験利用の試験がありました。センター試験が共通テストに変わり、この共通テストの難易度が高く、難関大以外の私立大学の入試で使いづらくなっています。そのため、かつてのセンター試験利用の代わりに年内学力入試が増えていると捉えています」(村上さん)

 共通テストの英語は長文化しており、単語数はセンター試験の1.5倍から2倍ほどになっている。英文を読むだけではなく、思考力を問う問題も増え、難易度が上がって、中堅層の生徒が受験しづらくなっている。

 大学のデータを見ていると、年内学力入試でも一般選抜と変わらない学力層が入ってくる。しかし、年内学力入試の内容には、一般選抜よりも中堅層が受けやすいものも目立つ。

 私立大学の一般選抜は3教科が中心だが、年内学力入試には2教科の入試も多い。また、年内の入試時期にはカリキュラムが終了していない高校もあるため、基礎的な内容の問題が多い。

 こうした試験内容と、中堅層の高校生の日常的な学習がマッチするという。

 「高校のカリキュラムと難関大入試対策は違ってきます。高校で日々の勉強をきちんとし、定期テストで得点をとるのと、難関大の大学入試に向けての学習は違ってきます。一方で、日常的な学びをしっかりやることと年内学力入試はマッチします」(村上さん)

日東駒専は「評定3.5」から推薦が狙える

 年内学力入試以外の「年内入試(推薦・総合型選抜)」を受験する場合も、日々の努力が大切だ。

 指定校推薦以外の公募制学校推薦型選抜や総合型選抜でも、基本的に高校の評定平均値が重視される。高校生活の中で課題を提出し、定期テストの得点を上げていけば、評定平均値もしっかりと上がっていく。

 「高校3年生になってから慌てても間に合わないので、高1の段階から評定平均を意識した学習を積み上げることが大切です」(村上さん)

 かつては「高3の1年間で追い込む」という一発勝負も成立したが、今は少なくとも中堅層では、それだけでは難しくなっているというわけだ。

 日東駒専の指定校推薦も、「評定平均値3.5」があればチャンスが出てくる。まずは評定平均値を上げることが重要だ。

 塾の主流が集団塾から個別指導へシフトしているのは、受験対策が「一般選抜向けに学力を上げていく」ことだけではなく、「評定平均値を上げていくこと」も重視されるようになったことが一因だろう。

 評定平均値以外では、資格も大学入試で有効な武器となる。代表的なのが実用英語技能検定だ。英語の実力を測る指標として大学側のニーズも強く、一般選抜で英語の学科試験の代わりに英検資格を利用できる大学も増えている。

 東洋大学の場合、英検のCSEスコアが1980以上(英検2級レベル)が80点、2150以上が90点、2304以上(英検準1級レベル)が100点に換算される。

 他に、数学検定や探究コンテストの予選通過なども加点材料になることがあり、高校1年生から積極的に取り組ませるのが今のスタンダードになっている。

「年内に合格しておく」戦略のメリット

 年内入試には専願と併願がある。専願は合格したら必ず入学しなければならない。一方、併願は合格しても辞退できる。

 年内に専願で合格した場合は、その大学に進学することになる。しかし併願なら、その後も他大学を受験できる。年内入試で進学先を一つ確保しつつ、一般選抜で第一志望にチャレンジする方法もある。

 年内学力入試はほとんどが併願で、「一般選抜よりも難易度が高い高校の生徒が受験してくる」と各大学はいうが、年内に併願の合格を得て、年明けの一般選抜を目指すという受験戦略になる。

 「年内だけで2校、3校を併願する受験生も増えています」と村上さんはいう。

 例えば、10月の総合型選抜を専願で受験し、残念な結果になった場合、その後に実施される公募制学校推薦型選抜を受験する生徒もいる。

併願できる大学にも、魅力的な選択肢は多い

 かつては年内の推薦・総合型選抜というと専願が中心だったが、今は併願可能で、合格しても辞退できる年内入試も増えている。

 現在、津田塾大学、日本女子大学、東京女子大学をはじめとする有力女子大では、総合型選抜で併願可能な入試もある。評定平均値や英検資格を利用し、こうした女子大の合格を確保したうえで、年明けの一般選抜に挑戦する女子学生も増えている。

 女子大の危機が報じられる一方、津田塾大学、日本女子大学、東京女子大学、共立女子大学、昭和女子大学、大妻女子大学など、人気のある女子大もある。併願できるのであれば、受験先の選択肢になり得る。また、キリスト教系の女子大には、教育内容や就職サポートに力を入れている大学もある。

 共学の大学でも、入試難易度だけでは分からない、学生へのサポートが充実している大学はある。

 特に理工系では、指定校推薦や総合型選抜で入学した学生が授業についていけないケースも増えているが、そうした学生をしっかりサポートする大学もある。

 志望校選びでは、大学の知名度やイメージだけでなく、入学後の学習支援や就職指導などの中身まで見て決めていきたい。